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「本のカバーはお付けしますか」と聞くと大抵の人が「お願いします」と言う。
しかし、面白いことに「本はこのままのお渡しで宜しいでしょうか」と聞くと「あぁ、そのままでいいです」という人がぐっと増える。小説を読む習慣のある私は、本のカバーといえば小説に付いているものだという固定概念に縛られていたが、実際のところ「このままのお渡しで宜しいでしょうか」と聞いても本にカバーを付けてもらいたがるのはコミック(またはラノベ)を買う層が多い。その人々にとっては、本ひとつ取っても愛する作品のグッズの一つで、だからこそ大切に扱いたいのだろう。文字さえ読めればどんな状態の物でもいい私なんかとは雲泥の差だ。大切なものを丁寧に扱える人は羨ましい。私はなぜかそれが出来ない。
今の私は小説が好きで、音楽が好きで、アイドルが好きだ。得意ではないけれどおしゃれも好きだし、メイクも好きだ。だけれど、大切に扱えない。本やCDやグッズや服やコスメが綺麗であってほしいと思う気持ちはあれども、大切なものほど自分に近く感じるからか、「乱暴」まではいかないにしても雑に扱ってしまう。
友人関係にしてもそうだ。親密になればなるほど雑に扱うようになってしまって、連絡を返さなくなったり、会ってもスマホばかり見たりするようになったりしてしまう。そのせいで何人かとは特に揉め事もなく会わないようになってしまった。一番大事な友人とは、これを恐れてあまり頻繁に交流しないようにしている。それに関しても私の中では「大事にしている」つもりだが、向こうからしたら「連絡が来ない」のと同異議であろう。最低だ。
いずれ雑に扱ってしまうのが分かっているのに買う本。いずれ雑に扱ってしまうのが分かっているのに買うCD、グッズ、服、コスメ。いずれ雑に扱ってしまうのが分かっているのに、近づきたい人。
「大切に扱いたいですか」と聞かれると「はい」と答える私。
「ありのままでいたいか」と聞かれると「はい」と答える私。
ありのままでいたら、大切なはずのものを傷つけてしまう私。
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