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プランクトンを食べようと口を開く魚は、とても生きていた。水槽には彼らの生態が書かれていて、「どのように食事をして、どのように繁殖するか」を知ることが出来る。上位の生物としてそれをする権利があるかのように、彼らを娯楽に成り下げているような不快感はこの部屋の過ぎる照明に拠るものだろうか。同じ種の魚は皆同じように食事をして、同じように繁殖して、怒られそうだけどまるで機械みたい。大学に居る人って魚なのかも。まるで機械みたいに、規則正しく生きている。ちっとも羨ましくないけれど、劣等感だけは抱いている。

人間って別にリンゴを1つかじればそれなりに腹が満たされるし、身体の性別が違えば誰と番でも子どもを産めるのに、そんな生き方をしていない。私も、食べられないほど辛いラーメンに挑んだし、一人暮らしの異性の部屋には行かないようにしてるし、煎餅布団で床に就くのも板に付いてきた。こういう駄洒落みたいな文章も書くんだね、私って。

私が魚だったら、胃に優しいものばかり食べて、20代で子を産んで、日を跨ぐ前に寝ているのかなぁ。魚だったら、神様がゼンマイを回してから、それが止まるまで人間らしい生活を送るのかなぁ。

でもそうやって生きられないから、ホイップクリームを追加したり、無駄な恋を引きずったり、深夜に散歩をしたり、大きな音で耳を駄目にしたり、もらったタバコで苦しんだり、雨を恨んだり、解決しないことで悩んだり、強い酒を飲んだり、誰も救わない文章を書いたり、自信作じゃなくてもほら、こうやって、見せびらかしたりしている。そうやって生きていないけれど、いないから、心は複雑に揺れ動く。変な名前を付けたっていいよ、新種の生物を見つけました。


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