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現実の自分と憧れの自分を入れ替える。

自分は小学生の頃、誰が見ても完璧な、「のび太」君だった。勉強が出来ない。スポーツが出来ない。泣き虫、弱虫だった。両親はそんな自分が心配だったんだろう。よく押し入れに入れられたり、外に出されて鍵をかけられた。ケンカして、負けて泣いて帰ったら、「勝つまで帰ってくるな!」と外に出された。ドラえもんは当時好きなマンガだった。のび太がドラえもんのおかげで、ジャイアンやスネ夫に仕返しするのが痛快だった。だけど自分にはドラえもんがいない。ドラえもんの中では、ジャイアンとスネ夫が1人ずつだけど、自分の周りには、ジャイアンが3人、スネ夫が2人いた。毎日いじめられて、学校に行くのが苦痛だった。でも、登校拒否なんて出来なかった。両親が許すことはなかった。自然と空想の中に逃げこんだ。小学生高学年になっても、イジメは止まらず、空想の世界に浸って、1人でいた。ジャイアンの1人から、近所の剣道会で、一緒に剣道習おうと誘われた。一緒に習ったら、仕返し出来ないじゃないか。心の中で、そう思って断ろうとしたが、母に話したら、自分より乗り気だった。半ばイヤイヤながら、剣道を始めた。最初15人もいた入会者は足さばきやトレーニングで脱落していった。気がついたら、自分とジャイアンと数人のみだった。ただ残った者は皆強くなった。試合でメダルや賞状をもらっていた。自分もそれが欲しくて、1日も休まずに通った。すると自分に変化が現れた。剣道で頑張ったら、体育の授業が楽になった。先生に褒められるようになった。元々本の虫だったが、ほんに書いてある読めない感じや難しい言葉を辞書で調べて、自分でも書けるように練習した。いつのまにか、クラスでビリの成績、受験組を除けば、クラスの中間以上になっていた。ジャイアン達には、カンニングしたろ!と言われたが。仕返しするつもりで始めた剣道は、いつの間にか、決して暴力に使ってはいけないものになっていた。中学入学で、同じ中学はジャイアン1人だけになっていた。そいつは剣道に誘ってきたヤツだった。強かったが、残念ながら、その中学には剣道部がなかった。中学に入ったある日、夢を見た。それは理想の自分だった。友達に囲まれて、楽しそうに笑い、授業中もハキハキとして、体育でも活躍していた。現実と入れ変わればいいのに。心の中でそう思った。朝、目が覚めて、夢だと知ってガッカリした。登校して、友達に元気に挨拶した。皆、変なものを見た顔してた。その日から自分の学校生活が変わった。

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