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『やっぱり食べに行こう。』ノート

原田マハ著
毎日文庫
 
 アート小説の第一人者の原田マハさんの美味しいものエッセイ集。読めば食べに行きたくなること請け合いだ。しかし外国が多いので、マハさんのようには簡単には行けないのが残念……。せめてこの本を読んで、世界中を旅行した気分になりましょう。
 
 小説を書くための取材旅行にかこつけての美味しいもの探索、あるいは旅友だちとのグルメ旅での世界各地の美味しいものを各章に分けて、およそ1ページ半の文章をてんこ盛り――「食べることは、すなわち生きることであり、食べに行くことは、よりよく生きることなのだ」と著者は言う。
 
 「朝ごはん」「麺」「シーフード・肉」「デザート」「アートとグルメ」「何度でも通いたい店」「欠かせない一品」の章に分かれ、よだれが出そうな美味なもの満載である。
 
 その中で私が食べたことがあるのは、たったの2つ。神田神保町の「スマトラカレー共栄堂」のカレーと長崎のトルコライスである。
 「スマトラカレー共栄堂」のもう一つの名物は〝焼きリンゴ〟と聞いていたので、古本屋巡りの後に寄って、カレーと焼きリンゴを注文したが、焼きリンゴは季節ものでその時は作っていなかったのが残念だった。
 
 長崎でマハさんがトルコライスを食べた店は定食屋としか書かれていないので、店名まではわからないが、私が40年近く前に住んでいた長崎で、トルコライスをよく食べた店は、九州最古の喫茶店といわれる「ツル茶ん」である。先輩にもよく連れて行ってもらった。若い頃は気にせずによかったが、カロリー制限が必要な年齢になると、注文しにくいかも知れない。でも美味しいです。
 それと噂には聞いていたが、佐賀の〝牡蠣小屋〟――長崎にいた当時は牡蠣が食べず嫌いだったので食したことは残念ながらない。長崎から国道207号線を車で北上し、佐賀県太良町に入ると〝牡蠣焼き〟の看板が国道沿いに目につくようになるが、それを横目で見て素通りしていた。いまは、牡蠣が大好きになり、九州にいれば即直行だが、いまは遠き関東に居住しているもので、おいそれとは行けない。一度は行ってみたいと思っている。
 
 原田マハさんも牡蠣が大好きで、「私は牡蠣の生まれ変わりなのである」と公言するくらい好きなのである。もう一つ、原田さんが牡蠣で取り上げているのが毎日新聞社本社の最上階にあったレストラン「アラスカ」の牡蠣ピラフ! このレストランにはその昔行ったことはあるが、美味しいよと上司に勧められても、「牡蠣は苦手で」と注文しなかった。いまなら食べてみたいが、残念ながら、すでに閉店しているそうだ。同名の系列店をネットで調べて見たが、牡蠣ピラフはメニューには見当たらなかった。
 
 この本を読んで、世界を旅して美味しいものを食べた気分に浸りましょう。

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