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落選した新規事業のフィードバックをしたら泣かれてしまった話と10の大事な視点

 リブセンスでは新規事業を開発する部門がある。同僚かつ友人のM氏がピッチに立つも落選してしまった。

おこがましいかもしれないけど、フィードバックを出させて欲しいなと思い、昨日「振り返り会」を実施したのだが、途中で号泣させてしまった。

言いすぎたのかと思いきや

ヤス、うちに来てくれてありがとう。
フィードバックに愛を感じて涙が出てきちゃった。

女神かと。。。笑

我ながらフィードバックの内容が、いい視点だったので、備忘録がわりにnoteにしてみることに。

※今回のM氏の事業内容は紹介しないこと予めご了承ください
※ポイントが10個あるのでライトに紹介していきます

1. 発起人が熱狂しているか

 目覚ましい成長を遂げているサービスは、発起人が熱狂しているケースが非常に多い。

「このサービスあったら私なら使っちゃうなぁ。え?あなた使わないの?へぇ勿体無い。え?馬鹿げてる?いいの私はあったほうがいいって思ってるもん」

こんな感じで熱狂していることが大事。
M氏はここができてたのでGoodでした。

ロールモデルとしてはZOOMのEric Yuan氏があげられるでしょう。

2. ファクト・ベースド・コンセプト

 事実として「こんなことに困っている人がいる」「こんな社会的な課題がある」という、ファクト(事実)に基づいてコンセプトを打ち立てることが大事です。というのもアンチパターンとして

「たぶん高齢者はこうしてほしいって思ってる人が以外にいるんじゃないかなって思って」

空想・ベースド・コンセプトが案外多いので、留意しておくといいよという話でした。ここもM氏はできてたのでGoodでした。

3. ネーミング

 サービスの内容やコンセプトとサービス名称がマッチしていないと聞く側が「???」と疑念がつきまとってしまうので、やっぱりここはこだわったほうがいいよという話でした。

主にネーミングがイマイチな場合は以下のことを考えてしまいます。

「この名称で流行るかなぁ」
「この名称を聞いてサービスの雰囲気を想起できるかな」
「語感として気持ち悪くないかな」
「コンセプトは十分に煮詰まってるのかな」

ネーミングを考える上で以下の書籍がすごく有益なのでお勧めします。

4. 競争優位性

「市場に出る=競争する」ということなので、競争優位性(Competitive Advantage)をきちんと備えることがキモになってきます。

じゃあ、競争優位性をだすときに何を考えたらいいのさ?というときは、7年前のGigazineの記事を読んでいます。

Linkedinを創業したリード・ホフマン氏が卒業生向けに語ったスピーチの中で語る「Competitive Advantage」の部分が、真理なんじゃないかなと思っており。

5. グロース・ストーリー

「どんな風に事業そのものを成長させていくのか」というのを話せるかどうかはかなりキモです。

「このサービスの見込みユーザーを効果的に集めるため、ペルソナに合致した人が読んでいるであろうWEBメディアと提携して、効率よくユーザー獲得を進めていくなど・・・」

どんな風にユーザーが集まるのか、どんな風に協力者があつまるのか、ここの物語(ナラティブ)が現実めいていることが、とっても結構タイセツです。

6. ヴィジョン

 サービスなりプロダクトの目的が「お金儲けたいだけです」という場合には、色んな人が協力してくれません。別に素直な気持ちなので、悪くはないのですが、ユーザーも社員も資金もいろいろと集まりません。

「物を交換することを当たり前化して『ゴミ』をリデュースしたいんです」

など、そのサービスを通じて叶えたいビジョンが、素敵なものだとチャンスに恵まれやすいので、大事だという話です。

7. PL計画

 よく「PLとか考えないで粗めのアイディアでいいから」と言いますが、僕は真っ向否定で「PLを五カ年分かこうよ」と思う派です。

PL計画 = 損益計画

シンプルにPL表をつくると見えてしまう「論理的矛盾」に早く気付くべきだからです。

実際には何人のユーザーが現れて黒字化するのか、思ったより販管費はかかるのか、かからないのか。
これはきちんと表に整理して計算しないと現れてきません。

ぶっちゃけ面倒ですが、面倒ですが、本当にやったほうがいいです。

8. ヴァリュー・エコシステム

 お金・モノ・データ・サービスをざっくりまとめて「ヴァリュー(value)」と読んだとき、どんな風に循環するのか、というのを図示したほうがいいって話です。

ビジネスモデルで考えるなら以下の記事が参考になります。

サービスのグロースまでを見越して考えるなら以下の記事が参考になります。

9. モックアップ

 これもPL計画と同じく「モックとかいらないからアイディアだけで」という流派もありますが、モックアップは作ったほうがいいです。

あくまで持論なんですが、デザインで見える状態の前って

「絶対ワイのこのアイデア完璧でテッカテカなんやで」

という謎の自信とワクワクがあるんですが、実際にモックに落としてみると案外そのワクワクが薄れるんです。

「あれ?思ってたより普通すぎない?」

早めにその根拠のない自信を捨て去る意味で、モックは作ったほうがいいです

10. フィージビリティ

 「事業プランの実現性は」という話ですが、ここも別に話さなくていいよ派もありますが(略)

さて、事業プランのフィージビリティを高めるためのコツですが

「イジワルなおじさん・おばさんを脳内に召喚して詰問される」

これにつきます。

「つまりユーザーはどこに感動してこのサーヴィスを使うんざます?」
「おい、これってホンマに安いんかいな?」
「本当にこのサーヴィスが洗練されてると思ってるの?」

精神的に健康なときにやったほうがいいです。
一人でやって、一人でめっちゃ凹むので・・・。

さいごに

 Goサインを出してくれる方々が本当に見ているのは「継続性・持続性の担保」なんです。

なので1〜10のポイントが大事というのは「こいつは損益が黒字化するまで逃げないな」と思っていただくためでもあるんです。

なにより、1〜10までを整理して準備するのは容易ではないので、自分としてもそれを本気でやりたいのか、キチンと自問するいい機会にもなります。

と、今日はニッチな話でした。

サポートいただけたら、嬉しくて本屋に行くと思います・・・笑