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国の白書を味方につけろ!

「白書」という言葉を耳にすることがあると思いますが、実際に目にしたことがある方は少ないのではないでしょうか。防衛白書、とか、観光白書、などが代表的ですね。国の政府機関が省庁ごとに毎年公表している、行政課題や政策を解説した書籍です。

【白書一覧】

この白書は、単に読み物としてではなく、行政が今の世の中の課題をどのようにとらえ、どんな解決策を展開し、その先の未来をどのように作ろうとしているのかを示すものです。

行政営業の視点からいえば、クライアントの頭の中を垣間見ることのできるとても貴重な資料です。

白書の見方

まずは、自団体の取り組み分野に近いテーマを扱っている白書を探しましょう。

例えば、データ活用による社会課題解決に取り組む団体の場合は、「情報通信白書」になります。発行主体は総務省。令和2年版の「情報通信白書」は2020年8月に公表されたばかりです。サブタイトルは『5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築』です。このサブタイトルを見るだけでも、総務省の情報通信系ラインでは、『5G』『デジタル変革』『新たな日常』に集中投資する、というメッセージが読み取れます。

【参考:情報通信白書】

紹介されている事例から営業のヒントをつかむことも


白書には、政策の参考となるような数多くの先進事例が紹介されており、これに掲載された地域や企業は、全国の自治体のモデルとして注目されるようになります。

例えば、経済産業省の「中小企業白書・小規模企業白書」では、社員2名、資本金300万円の小規模企業が、行政機関の支援を受けて海外進出を果たした事例や、「生涯現役」をモットーにした会社が雇用する社員が全員定年退職後のシニアばかりという事例、運転手付きトラックの30分レンタルサービスで下請け構造から脱却した事例など、ユニークな企業の取り組みが数多く掲載されています。

これらの事例の中で自社の活動に近いものがあった場合は、絶好の営業のチャンスです。

自治体の所管部署も、自分の地域で類似の取り組みがあることを知れば、サポートを得られるかもしれません。すぐに意見交換を申し入れてみましょう。

【参考:2020年版中小企業白書・小規模企業白書】

自治体営業に、国の白書がなぜ重要なのか?

政府の方針を示す白書は、国の予算編成に大きな影響を及ぼします。国の予算の一部は補助金という形で自治体にも降りてくるため、自治体の来年度予算への影響も予想されます。つまり、白書で注目されているテーマは、来年度の自治体予算にも組み込まれる可能性が高いといえます。

また、国がモデル事業と称して、新しい取り組みを行う自治体を公募することもあります。当然、新しい社会課題について、自治体側にも十分な知識やノウハウがない場合は、自治体と一緒に国の事業に応募してくれる民間事業者を探すこともあります。

そのタイミングで声をかけてもらえる関係を作っておけば、営業活動のコスパを最大限に高めることができますね。

さいごに

行政組織は、良くも悪くも大きなピラミッド構造。上意下達の弊害はありますが、変えられないものを嘆いても始まりません。上意に逆らえない意思決定の構造をうまく活かして優位な状況を作っていくことが、自治体営業の極意とも言えます。

国の白書が公表され、自治体の来年度の予算編成が始まる今の時期は、行政の意思決定のあり方を実感できる良い機会でもあります。

このタイミングをぜひ、営業活動に生かしてみてください。

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