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地方に住み、自治体と働くということ⑦ ~そのクラウドファンディング、必要ですか?(3)

前回までで見た通り、クラウドファンディングの世界はまさに群雄割拠。M&Aを繰り返しながら、それぞれのサイトが独自色を打ち出し、個人や中小企業の新たなチャレンジに資金を提供しています。

この波に乗らない手はない!
さっそく申し込んでみるか!!

・・と前のめりになる前に、少し深呼吸を。

あなたの事業に、必ずしもクラウドファンディングがマッチしているとは限りません。その理由を、以下で見ていきましょう。

1.高額な手数料に見合うメリットはあるか

気づいた方も多いと思いますが、クラウドファンディングは集めた資金の10~20%を手数料としてサイトに払わなければいけません。助成金は全額収入になりますし、金融機関からの融資なら2%前後の金利ですみます。20%もの高い手数料を支払うからには、何らかのメリットが必要です。クラウドファンディングを皆さんの事業に活用すべきかどうか、今一度立ち止まって考えてみましょう。

クラウドファンディングのメリットは「応援者を増やす」ことと「将来のユーザーを獲得する」ことにあります。商品開発や飲食店、宿泊施設などのBtoCビジネス(個人向けビジネス)であれば、大きなメリットが得られるでしょう。

でももし、あなたの事業がBtoBビジネス(法人向けビジネス)の場合、クラウドファンディングの恩恵は限定されるかもしれません。なぜなら、クラウドファンディングの資金の出し手はあくまでも「個人」なので、法人向けのサービス開発に個人から共感を得ることはとても難しいからです。

「このプロジェクトを応援しても、自分個人の生活には何の影響もないな。」と感じるプロジェクトに身銭を切ってお金を出す人は、まずいないでしょう。

もしBtoBビジネスでクラウドファンディングを活用しようとする場合は、
①あなたの事業が個人の生活にどう影響するのかを説明する
②それが難しければ、助成金を検討する
③助成金がない、または時期が合わない場合は、金利の低い公的金融機関(政策金融公庫など)を当たってみる

の選択肢を考えてみてはいかがでしょう。

2.必要なマンパワーを割くことができるか

クラウドファンディングはとにかくマンパワーが必要、と言います。私の周りでクラウドファンディングに取り組んだ方は、数人でチームを作って役割分担を決め、SNSをフル活用したり友人・知人ネットワークを活用しまくることで、数百万円の目標金額を達成していました。

クラウドファンディングのサイトには、本当に数多くのプロジェクトが同時並行的に公開されているなかで、金額を集められずに終了するものもたくさんあります。自分のプロジェクトが埋もれてしまわないように、PR面でも工夫が必要となります。写真撮影や文章作成などのクリエイティブも、結果に直結してくるようです。

以下のサイトはクラウドファンディングの難しさをよく表していると思いますので、ご紹介しますね。

クラウドファンディングに取り組む数か月間、自分の時間を投入し、周囲の力も借りながら、プロジェクトの成立に向けて覚悟を決めて取り組むことができるか。それがクラウドファンディングの成否の分け目とも言えます。

3.クラウドファンディングは、あくまでもone of themである

クラウドファンディングは万能の打ち出の小づちではなく、あくまでもたくさんある資金調達方法の一つです。準備から資金調達まで数か月かけ、多くのマンパワーを投じて、高い手数料を支払っても十分な見返りが得られるかどうか、よく考えてチャレンジすべきだと思います。

「流行っているから、なんとなく、、、」という軽い気持ちで取り組み始めてしまうと、目標金額に到達しなくて一円も得られず、かけた時間に対する恩恵もなく、ただ時間だけが流れてしまった・・・なんて悲惨な結果にもなりかねません。そんなリスクがあるということも、一方では事実なのだと思います。

資金調達は起業のうえでとても重要な要素です。ご自身の事業にマッチした方法を考えてみてください。


参考:政策金融公庫は意外とハードルが低い

たとえば、あなたが女性だったり、35歳以下の男性であれば、政策金融公庫から最大7500万円、2%前後の低利で融資を受けることもできます。

私も政策金融公庫から賃貸不動産のリノベーション資金を借りたことがありますが、「保護猫を引き取ってくれた人に賃料を優遇する」という条件を付けたことで社会性が高いと評価していただき、1%代の最低金利で融資をしていただきました。

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