オランダ移住 家族用在留許可取得手続きについて(2021年2月時点)

 2021年2月に妻とオランダに移住するに当たって、妻の在留許可の申請を行いました。当時、家族の在留許可取得に必要な手続きの全体像がまとめられている記事などを見つけることができず準備に一手間かかったので、誰かの役に立つことを期待して備忘録としてまとめておきます。
 基本的には、収入などの条件をクリアし、必要な書類がそろってさえいれば在留許可はもらえるようですので、書類の用意だけしっかりとやればOKです。

 本記事は2021年2月時点の情報です。おおまかな流れは変わらないと思いますが、実際に手続きを行う際はオランダ移民局公式ホームページ(https://ind.nl/en/Pages/default.aspx)、日本国外務省ホームページ等で最新の情報を確認してください。


1.本記事の想定読者

・オランダに移住 or 3か月以上の長期滞在をしようとしている方
・自身は既に在留許可を有している or 別途申請予定 or 別途申請済みであり、配偶者や子供の在留許可を郵送で申請しようとしている方 *ご自身が既にDigiD(オランダで行政サービスを利用するためのアカウントのようなもの)に登録されている場合は、オンライン申請が可能なようです。本記事では触れません。
・その他、日本国外務省でのアポスティーユ取得や在蘭日本大使館での英訳などの個別手続きについて知りたい方

2.手続きの流れ

 すごく雑にまとめると

・出国前に必要書類を用意する
・出国後に必要書類を用意する
・オランダ移民局指定の申請用紙に記入し、集めた書類とともに移民局に郵送する

です。以下、順に説明していきます。

3.出国前にやること

①戸籍謄本を取得する
 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を2通用意してください。1通は移民局に提出、もう1通はオランダの居住自治体で住民登録(BSN取得)をするのに使います。多くの自治体ではコンビニで即日発効してくれるようですね。*オランダでの住民登録については本記事では触れません。
 オランダに新たに住もうとしている人(配偶者や子供)が、本当に在留許可を有する者(私)の身内なのか?ということを確認するのは、不法移民の流入を防ぐためにも必要なんだと思います。
 なお、未婚のパートナーの場合は公的な証明書類がないため、代わりの書類を提出する必要があるそうです。*本記事では触れません。

②アポスティーユを取得する
 次に、①で取得した戸籍謄本2通を外務省に持っていき or 郵送し、アポスティーユ(APOSTILLE)を取得します。*手数料不要
 本記事執筆時点(2021年10月)では、東京窓口は郵送のみ、大阪窓口は急ぎの場合以外は郵送で申請、だそうです。最新の情報は外務省ホームページで確認してください。
 アポスティーユがもらえると、2通の住民票それぞれにホチキスで英文の紙がくっつきます。その紙がお墨付きの証なので、はがさないようにしましょう。

 戸籍謄本を発行するのは日本の自治体です。でも、よその国(日本)の自治体なんて知らないし、オランダの移民局から見たらその書類が正式なものであるかがわかりません。そのため、日本国外務省が、その書類が公的なものであるとお墨付きを与えてくれます。それがアポスティーユです。
 

③所得証明を取得する
(1)自分の会社との雇用契約書など(英文)
(2)銀行英文残高証明(Bank Statement)
を取得します。
 (1)は、雇用形態によってさまざまなのでここでは具体的に説明しませんが、私の場合は、オランダ滞在期間中に会社と雇用関係にある旨と、その間の収入見込みが書かれた英文の紙を会社に発行してもらいました。
 (2)は、ご利用の銀行で発行を申請してください。私はUFJ銀行を利用していたので、UFJの窓口で「英文の残高証明をください」といって発行してもらいました。*要手数料

 いずれも、指定の様式はありませんが、在留許可申請様式(後述④)の「Appendix Proof of Income」にて要件等を確認してください。
 これらは、オランダで家族を養うのに必要な収入源があるかどうかを確認するためのものです。

④申請様式を印刷する 
 郵送で在留許可を申請する場合、指定の様式に必要事項を記入することとなるので、オランダで印刷環境がない場合はあらかじめ申請様式を印刷して持っていきましょう。日本のように手軽にコンビニで印刷できたりはしないので要注意です。
 申請様式はオランダ移民局のホームページで手に入ります。こちらのページの「General form for an application at the IND for a family member」にある「様式7518」が申請様式です。実際に郵送するのはこの一部ですが、パッと見てどのページが不要かは判断しづらいので、全て印刷しておくのが良いと思います。片面印刷です。

 ここまでが出国前に行う手続きです。①②③は時間的余裕をもって必ず用意しましょう。出国したあとだと入手が難しいので、とてもめんどうなことになります。

4.オランダでやること

⑤ハーグの日本国大使館で戸籍謄本の英訳を依頼する
 ハーグの在蘭日本国大使館に②で取得したアポスティーユ付き戸籍謄本2通を持って行き、英訳を依頼します。大使館で戸籍謄本の英訳をして欲しい旨伝え、必要書類をもらって記入してください。予約は不要ですが、申請1通につき10€手数料がかかります。*窓口の受付時間等は大使館ホームページで確認してください。郵送や代理人による申請も対応しているようです。
 英訳には中三営業日かかるそうです。私は月曜に申請をし、金曜に受領しました。戸籍謄本1つにつき英訳された紙1枚がもらえます。

 ちなみに、②のアポスティーユはあくまで書類そのもののお墨付きであり、記載内容の証明ではありません。そのため、大使館にて戸籍謄本に記載されている内容を正式に英訳してもらう必要があるのです。
 オランダ公認の翻訳者に依頼するという手もありますが、私は利用していないため本記事では説明しません。

 在蘭大使館に行くには、ハーグ中央駅2階のバスロータリーから、路線24のバスに乗り、Laan van Meerdervoortで下車します。バスで15分、下車して5分程度です。

⑥戸籍謄本英訳をオランダ外務省でリーガリゼーションする
 次に、⑤で取得した英訳に、オランダ外務省からのお墨付きをもらう必要があります。これをリーガリゼーション(Legalization)といいます。戸籍謄本と⑤で取得した英訳2組をオランダ外務省に持ち込み、窓口でリーガリゼーションしたい旨を伝えます。リーガリゼーションしてもらえると、英訳2通のそれぞれの裏面にシールを張ってもらえます。

 手続窓口は1階入り口奥で、入り口で警備員に用件を伝えると、整理券発行機に案内してくれます。特に記入様式などはなく、整理券をもらって自分の番号が呼ばれたら窓口に行けばよいです。

 手数料は1通につき10€です。原則PINカード(オランダのキャッシュカード兼デビットカード)のようですが、持ってなかったので現金OKでした。クレカはダメだそうです。

 オランダ外務省はハーグ駅西口を出て目の前にあります。AM11:30までに外務省窓口で申請すれば20分ほどで即日発効してもらえるので、朝一で大使館で英訳を受け取り、その足でオランダ外務省に向かうのが楽だと思います。私は、金曜の朝9時に大使館で英訳を受け取って、10時頃には外務省でのリーガリゼーションまで終わっていました。*開館時間等はホームページを確認してください。

⑦申請様式の記入
 ④の申請様式を記入します。個々のシチュエーションにより記入箇所が異なるため、よく読んで該当箇所を記入します。
 説明ページや、自分に該当しないページは郵送不要ですので、印をつけるなどして必要箇所と区別しておきましょう。

⑧申請書類の郵送
 以上の①~⑦で必要な書類がそろいました。これらを、申請様式と合わせてオランダ移民局に郵送します。郵送するのは

・申請様式 *記入済みの必要ページのみ。上記④と⑦参照。
・収入証明(雇用契約書など+英文残高証明書)
・自身の在留許可証のコピー
・自身のパスポートのコピー
・在留許可を申請する者(配偶者、子など)のパスポートのコピー
・アポスティーユ済み戸籍謄本+リーガリゼーションした英訳

です。これで、ひとまず申請手続きは終わりです。

5.申請書郵送後の流れ

 郵送で申請をすると、数日後以降、オランダ移民局から複数の手紙が郵送で届きます。順に、
・在留許可申請書の受領連絡
・在留許可申請手数料(192€)振込依頼
・手数料受領連絡
・在留許可決定連絡
・顔写真、指紋、サイン登録依頼
・在留カード受け取り依頼
です。

 いずれも全てオランダ語で記載されていますので、グーグル翻訳等を駆使して解読しましょう。基本的には手紙に書いている指示に従って振り込み等を行えば大丈夫です。
 4つめの「在留許可決定連絡」が来たら、とりあえず許可は下りたと判断されますので、その手紙をもって住民登録をすることができるようになります。書類に不備があった場合は、申請書に記載した連絡先に連絡が来ると思われます。

6.(参考)手続に要した期間など

 申請書を郵送して1週間程度で受領連絡が来ると思います。また、実質的な正式許可である「在留許可決定連絡」までは、長くて90日程度かかると書かれていたのですが、20日程度で連絡が来ました。こちらは、時期などによると思いますので、気長に待ちましょう。

以上です。ありがとうございました。


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