帰ってきたニュースくん:創作をやめた原作者の謎

小学2年生の頃、係活動で「新聞係」をやっていた。その時書いていた学級新聞に味気なさを感じ、「そうだ、キャラクターを作って親しみを持たせよう」と思って生み出したのが、俺の創作活動の原点、「ニュースくん」である。

ニュースくんは新聞の形をした生物で、新聞星という星からやってきた地球外生命体という設定。デザインとしては、鼻や口、足などはなく、顔のパーツは目のみで、腕が生えている。生きているということを表すため、ジャケットを着せた。基本宙にフワフワ浮いて移動する。当時ハマっていた「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる一反もめんをモチーフにしたためこういうデザインになってしまった。だが、人間の絵が描けない俺にとってはこうするしか方法がなかった。

写真を貼っときましょう。去年の暮れにパパッと描いてみたやつ。ニュースくん(11 YEARS AFTER version)です。

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どういう感想を持ったかは、それは読んでいる貴様らのご勝手だ。実際、当時もクラスメイトからの評判は「かわいい」と「キモい」で五分五分だった気がする。どっちを狙ってもいなかったが、「キモい」と言われるのはさすがに傷ついた。キモい路線で作ったキャラじゃねぇし。

見て分かると思うが、本来意思を持つはずのないものが意思を持つ、という形式は、俺のルーツとも言えるピクサー・アニメーション・スタジオ作品に影響を受けたもの。「トイ・ストーリー」の場合はおもちゃ、「ファインディング・ニモ」の場合は魚、「カーズ」の場合は車というふうに、人間とは違う何かが喋ったり悩んだりしてる。そういうのを作りたかった。それが受け入れられなかったから不人気だったんだろうな。

ちなみにニュースくん以外にもキャラは作った。鉛筆や消しゴムなどの文房具を元にしたもの、黒板消しやチョークなど学校でしか目にしないもの、さらにはテレビや自転車までもキャラクター化した。人間や犬のキャラクターも作ったため、頭の中はキャラクターで溢れた。今でも全員分は思い出せないぐらいにはな。

このニュースくんの物語、結構設定やタイトルをいじった。最初はニュースくんの設定が地球を捜査するためにやってきたスパイだったが(その設定を考えていた俺が数年後RELEASE THE SPYCEにハマるとは不思議な運命だ)、リア友のリアニキを始めとする数人の反対を受け、その設定はなくなった。代わりに、庶民的生活をしたくて家出した王族の宇宙人、という形に落ち着いた。タイトルに関しても、「ニュースくん道場」「ヒャクロク・ニュース」「身長3mmニュースくん」などかなり変動した。最終的には、ニュースくんシリーズとしてシーズン毎のタイトルにして全てを採用した。分かりやすく言うと、007のサブタイトルみたいなもの。最終エピソードのタイトルを「ヒャクロク・ニュースは永遠に…」というクソダサタイトルにしたのはマジで笑える。自分のことなのにネ。

そうしてニュースくんシリーズを小説化(なぜか横書き)し、半ば自己満足のようにリアニキと楽しんでいた。そういえばリアニキも、クラブくんというキャラを作っていた。俺が彼に吸収合併され、稼ぎ頭的立ち位置として作ったキャラだったっけかな。あっちのストーリーはほぼ覚えてない。今度彼の同人TCG体験会行った時聞いてみるか。

ここからは変な話になる。この時のまだクソガキだった俺は、将来はニュースくんで天下を取れると本気で思ってた。「ドラえもん」や「オバケのQ太郎」の藤子・F・不二雄先生や、「仮面ライダー」や「サイボーグ009」の石ノ森章太郎先生みたく、伝説の人物になれると思っていたのだ。まぁ簡単に言うと、人より想像力があるというちっぽけな自分の才能にベロンベロンに酔いまくっていたのだ。それに気づいた中学生の頃から、ニュースくん関連の企画を全て封印した。悲しい結末だな。そのまま根気よく続けてれば、今よりもっといい人生を歩めてたんじゃないかとも思う。過去のことをどう言っても仕方ないがね。

俺が昔から聴いている歌に、ゆずの「ぼくの漫画の主人公」という曲がある。これは子供の頃に漫画を描いていた北川悠仁の実体験が元になっている歌で、悠仁が漫画家として初めて出した漫画の単行本「まいんち ゆずマン」の中にもサビの歌詞が引用されて記載されていた。

この歌の中に、次のような一節がある。

あの頃のぼくよ 君の目に 今のぼくはどんな風に映るのかな? 憧れていたヒーローにはなれなかったけど 信じた道をこうして歩いているよ

ミュージシャンとなった大人の悠仁から、漫画を描いていた子供時代の悠仁へのメッセージになっている歌詞だ。俺は、どうしてもこの歌詞を自分にも重ねてしまう。

誰よりも自分が作ったニュースくんを大事にし、絶対的な自信に満ち溢れていた小坊の俺が、今の落ちぶれた俺を見たら落胆するのだろうか。多分そうかもしれない。「ぼくの漫画の主人公」のように信じた道を歩いているとは言い難い。1日を生きるので精一杯だ。せめて、あの頃の自分と、自分が創造したキャラクターであるニュースくんとその仲間たちに対して胸を張れる自分でいれたら良かったのにな……とちょっと悲しくなってしまう。

最後はちょっと後味悪かったかもしれないが、これで一応俺の創作歴の振り返りは以上にしておく(ほかにも色々作ったが、覚えてなかったり薄かったりする)。興味が出た人がいたら、もっと詳しく覚えてる限り話します。そんな人が多ければ、自信が出てリブートして作り直すかもしれない。まぁ最終的に決めるのは俺だけどね。

それではまたnoteを書きます。

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