ミカシネマ vol.8:「セブンティーン・アゲイン」

ミカシネマを久しぶりに書こうと思う。新しいバイトを始めたら、近いもんだから移動時間の合間にnoteを書くということができなくなってしまって、気づけば何ヶ月も放置してしまった。でも、そんなバイトももうすぐ辞める(辞表提出済み)。また新しい生活リズムの中で、note執筆の時間を見つけられたらな、と思うので、これからも何卒。

というわけで、いつぶりかのミカシネマ、今回の映画はこちら。

「セブンティーン・アゲイン」(2009年)

バー・スティアーズ監督作品のコメディで、主演はザック・エフロン。「ハイスクール・ミュージカル」(2006年)が代表作と言われているが、そっちを観たことがない俺は「ダーティ・グランパ」(2016年)のイメージが強い俳優だ。

ストーリーはこんな感じ。大学の奨学金をかけたバスケットの試合を控えた天才プレーヤーのマイクは、試合の直前に恋人のスカーレットから妊娠している事を告げられ、お腹の子供の為に試合を投げ出した。それから20年後、マイクはスカーレットに離婚を切り出され、子供達とも上手くいかず、オマケに勤めていた会社もクビになってしまうという、人生の負け組とも言える日々を送っていた。ところがある雨の日、不思議な現象に巻き込まれたマイクは体だけが17歳の状態に戻ってしまい……?

あらすじからしてヘンテコりんだろう。だがそれが、本編を観るといいなって思える、そんな映画だった。例えるならば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年)の親版、かな。あれはタイムスリップした息子が両親の若い頃と接触する話だった。

主人公であるマイクは、突然17歳に若返った後、親友ネッドの助けを借り、彼の息子のマークと名乗って高校に転校する。そして、ジョックと付き合っている娘のマギー、いじめられている内気な息子アレックスの2人を助けるべく、行動を開始する。このくだりが本当に良いシーンばかりだった。

アレックスがバスケチームに入れるように稽古をつけてあげたり、マギーの彼氏のスタンに真っ向から立ち向かったり、まさに子供の為を思って体を張る父親って感じだ。マギーに「スタンとは別れた方がいい」と説教するシーンで「父親にでもなったつもり?」とキレられるシーンのように、父親としての側面が隠し切れないところも、頑張っている感じが出ていた。

17歳化したマイクが関わるのは、子供達だけじゃない。妻のスカーレット(マイクのみスカーという愛称で呼ぶ)とも仲良くなるのだ。スカーレットはマイクに夫の面影を感じ、お互いに惹かれていくが、相手は息子の友達(だと思っている)という立場上踏み切れないもどかしさもあった。中年マイクがスカーレットに追い出されていることを踏まえて見ていると、かなり切ない。

こんな風に、単なるコメディまたはラブ込みのコメディっぽいとこが多いが、時折出てくる真面目なシーンがまた味を出してくれた。

裁判所でマイクとスカーレットの離婚の審議をしている場面なんかそうだ。マイクは17歳の体のため、出席することができず、離婚が成立しそうになったが、ネッドの助けを借りてマイクは17歳のまま現れ、「マイクから読んで欲しいと頼まれた手紙です」とスカーレットへの謝罪と願いを込めた手紙を涙ぐみながら読む。マークとして読んでいるはずなのに、まるで自分のことのように泣きながら読んでいるシーンがとても良い。それは17歳ではなく、家族の大切さに気づき、自分の過ちを噛み締めた37歳のマイクの涙であったのだ。紛れもなくね。

「セブンティーン・アゲイン」は、オッサンが自分の人生をやり直す話のように思えるが、最後まで観ると実際はそうじゃないって思える。やり直しじゃなく、自分が傷つけた家族を見つめ直し、大切さに気づく話なのだ。学園でのシーンが多いのに、テーマは「家族」。そのギャップもいいよね。それにザック・エフロンの演技も加わってるから、凄く完成度の高い作品になってる。みんなも観てみてほしい。

ちなみに、なんでマイクが若返ったのか、そのカラクリは最後まで明かされません。マイクが出会った謎の用務員の正体も。細かいことは気にすんなってことだろうけど、俺は好きだよこういうの。むしろ、今の人達って細かいこと気にしすぎでしょ。「なぜか」若返った、でいいじゃない。

それではまたnoteを書きます。

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