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ワイルドだぜ 三島とフィルポ

映画ファン、プロレス・ファンであっても、DVDもビデオもなかった我々の時代は、活字媒体で情報に接することが圧倒的に多かった。
だから、情報誌や新聞を通して独自のイメージが頭の中で組み立てられ自分にとってのスター像とかレスラー像が形成されたものだ。
例えば、パンピロ・フィルポという野獣タイプのレスラーは大学を出た知識人で、自身の哲学により、ギリシアの哲人のような野生の生き方をワイルドなプロレスの世界に見出だしたのだという別冊ゴングの記事だけで期待値が上がった。
1970年のあの記事には、三島由紀夫さんが自らの美学を散りばめてボディビルや剣道を語った「太陽と鉄」に匹敵するくらいフィルポのイメージが膨れ上がった。
コラムニストだったブロディがフィルポをリスペクトしたのも、そうした活字戦略に感化されたのかも知れない。

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