一人で歩け！

砂漠の中をバイクの後ろに乗って爆進する。
強烈な日射しと向かい風が気持ち良い。
ふいにバイクが止まり、身体が前のめりになった。
「降りろ」
運転していた男が言う。
言われた通りにすると、
「ここからは歩け」
「えっ、こんなとこから？」
「ああ、俺は一人で行く」
「いきなり、こんなとこから歩けって言われても」
「とにかく、お前はもう一緒に来ない方がいい」
そう言い放つと男は一人で走り去る。
ぼくがとぼとぼ歩き始めると、
「掃除するので起きてください！」
と声がして揺り起こされる。
サウナの仮眠室で夢見ていたのだ。
のろのろと服を着ながら携帯電話を見ると、いろんなメールが溜まっている。
開くとどの中身も、
「マーロン・ブランドが死んだぞ」
ぼくが俳優志望の少年時代からファンだったことを知ってる人達からだ。
2004年7月1日、日本時間で2日のこと。
以来、一人で砂漠を歩いている。