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佐々大河 『不思議の国のバード』 を読む

不思議の國のバード7巻め。
途中で読むのを辭めてた時期もあるんだけど、どんどん面白くなってくなこれ!
絵も上手になっていくので余計にひきこまれる。
最初の頃はテンポ悪いなあとか、設定に負けちゃってるなという感じが強かったんだけど、7巻めではすっかりそんなこと感じさせないくらい登場人物が生き生きしている。
漫画家さんに限らずあらゆる表現者に言えるんだろうけど、表現したいことって構想がどれくらい素晴らしくても、表現できるスキルの分だけしか現すことができなくて、だからこれは技術が上がると同時にどんどん本が面白くなっていくという現象ではなかろうか。
マンガのモデルになってるもともとのイザベラ・バードの旅行記そのものからは、彼女の本來は、もっとひねた感じのおばさんだったことがうかがえるのだけど、マンガではキラキラしたお姉さんになっているのはお約束。
このマンガで一番訴えたいのは、バードの、文化の奧にある人々の考え方こそに覗き込んでみる価値があると信じて、その期待に突き動かされるようにあらゆるものを見てやろうという衝動を描くことなんだろうけど、これって私、すごくドナルド・キーンさんに通ずる気がする。去年、院試の勉強で日本文学史を勉強するとき、キーンさんの著作を頼りにしたんだけど、キーンさんって一貫して、あらゆる時代の日本人が書き付けたその文章の奥底にあった心の流れを探りたくて、日本文学に取り憑かれていたんじゃないかなあ。
日光から始まった旅が、7巻でようやく秋田まで来まして、だんだん蝦夷地が見えてきた。次の巻がとっても楽しみ。

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