オンライン留学記(履修編①)
さて、9月下旬にオリエンテーションがあり、10月初旬から本格的に講義が始まり、2度のアセスメント(ディスカッション)を経て、ほぼセメスター1が終了しました。
後は、最終課題のエッセイを残すのみですが、ここで一度セメスター1を振り返ってみようと思います。
※あくまで、私が受講しているコースの振り返りです。他の大学・専攻とは異なることは前提でお願いします。
仕事との両立について
よく周りに言われるのが、「仕事しながらだから、相当忙しいんじゃない?」
はい、大変です。(笑)
でも、出願を決めた時から覚悟していたことですので、「こんなん聞いてないーーー!!」となることはなかったです。
実際に講義が始まってからは、両立を上手く続けるために、自分でいくつかルールを決めました。
1つ目が、職場では休み時間を含めて、原則、院の課題や勉強はしないこと。
結局、昼休みの40分間でできることはほぼなく、やったとしても中途半端に終わってしまいます。Subsidiary readingとして出された文献を読書半分に読んだりはしましたが、がっつりやると本業に支障が出てしまいます。マルチタスクは生産性が低下するので、ここはしっかり分けるようにしました。
2つ目が、効率よく仕事を進め、終わらせること。
これが案外、仕事の無駄を減らす意味でも効果的でした。
勉強する時間を捻出しないといけないので、早起きして勉強して、今日できる仕事は今日中に終わらせて・・・という流れです。
定時退勤はさすがに難しかったですが、帰宅時間はかなり早められたと思います。
イギリスで授業が9時に始まる場合、日本時間で夏なら17時、秋~冬なら18時からになります。17時は結構厳しかったですが、11時開始(日本時間で19時か20時)の場合はライブで受けられた時が多かったかと思います。
3つ目が、仕事のスケジュールを見ながら、計画を立てて守ること。週末を上手く使うこと。
どんなに効率よく仕事を進めようとしても、テストの採点時期だったり、会議がいっぱいあったりして、どうしても時間を作りにくい日はできてしまいます。
次の項目でも書きますが、幸いにも、今期履修した科目(必履修の30単位)は、ウェブ上に週ごとの履修内容や文献が全てアップロードされていました。
ですので、仕事の忙しい時は課題をこなす量を調整して対応していました。それでも、どうしても終えられない時はあります。そんな時は、必要な最小限の分をこなして、あとは週末や冬休みにこなそうという戦法をとりました。
幸い、私が履修しているコースではDistance履修生のWhatsAppグループ(日本で言うLINEグループ)が作られています。DL生は基本、2~3年かけて履修しますので、こういったアドバイスは履修2年目の人たちからいただきました。
履修の進め方について
専攻の内容にもよりますが、イギリスではDistance Course(通信制)で修士課程を開講している大学院がそこそこあります。こういったコースでは、コース管理システム(CMS)や学習管理システム(LMS)を使っています。
(参考までに、世界で初めて国を越えた通信制教育を展開し始めたのは、ロンドン大学だそうです。年は1858年。)
私が今期履修した科目の場合、Blackboard Learnというコース・学習管理システムに、学修内容がブロックごとにフォルダに分けられ、更にそのフォルダの中に各週で取り組む学習内容、必読文献、動画などが置かれていました。
また、現地での講義はZoom中継(スライド画面共有)され、参加できなかった人用に録画がBlackboardにアップロードされていました。
すごい丁寧だなーと思ったら、恐らく背景に、新型コロナウイルス感染症の関係で、現地でも自主隔離中の学生がいたり、現地生枠でオファーをもらったのに、様々な理由から渡航できずにDL生同様の履修になった学生がいたためだと思われます。
また、ディスカッションなどに文献が必要な場合も、図書館がオンライン化されているので、電子版になっているものは大体入手できます。大学から賦与されたアカウントでアクセスすれば、Google Scholarでも、ほとんどの論文にアクセスできます。なにはともあれ、原則完全オンラインで学べる環境は整っていたと思います。(ところどころ伏せてありますが、↓が一例です)
DL生だけじゃなく、現地生も同じプラットフォームの同じ項目にアクセスします。
ここにある各週ごとのフォルダの中身を見て、文献の量などを見ながら、仕事の予定と合わせて調整をしていました。
同時に、Microsoft Teamsで教授や他の学生とコミュニケーションがとれるようになっていて、2回のアセスメント(ディスカッション)もTeams上で行われました。
少し話が逸れますが、DL生が学んでいく中で苦しい点は、教授や他の学生と連絡が取りにくいこと。
現地生なら、わからないことがあると、その場でクラスメイトに聞けたり、教授を捕まえて質問することもできるんですが、DL生はそれができません。(現地にいないので当たり前ですが)
その意味で、Teamsでは気軽に教授に質問ができ、また他の人がした質問も見ることが出来ますし、アセスメントに関わるグループのメンバーとも連絡がとりやすかったので、かなり有難かったです。
Distance Learnerについて
正確な人数はわかりませんが、同期でのDL生には、ジャマイカ、スイス、中国、日本(私)、ハンガリーからの履修生がいます。全員、仕事をしながら参加されています。
前述のWhatsAppのグループはハンガリーの先生が作ってくださって、そこに2年目・3年目の人たちも入ってきました。
私見ですが、DL生は、仕事しながらでもお金出して学ぼうって集団なので、全体的にモチベーションが高い感じがします。(一応これは教授も言っていました)
あと、現職の先生、EdTech系企業に務めている人、管理職など、様々な職業の人がいるのと、BlackboardのDiscussion Boardで、彼らの凄まじくミクロな意見などが見られる点、刺激は大きいです。(やばい、私もがんばろうってなる。)
確かに、現地のように直接意見交換をする機会はないんですが、WhatsApp上で、「みんな履修追いついてる?私ヤバい」系のメッセージが来て、変に安心したりもしました(笑)
考え方は人それぞれだと思いますが、学び方の選択肢の1つとして面白い方法だと思います。
まとめ(オンラインのメリット・デメリット)
いろいろ振り返ってみましたが、1番のメリットは、「自分の仕事に合わせて好きな時に学べる」ことかと思います。
講義や文献は全部英語ですが、私は普段、日本語で過ごす環境にいるので、どうしても英語頭になりきれず、内容によっては理解にかなり時間がかかることもありました。でも、中途半端を防げたので、これはこれで良かったと思います。
今回は触れていませんが、もう1つメリットとしては、費用が安く済むこと。
現地に行く場合、出願費用+学費に加えて、渡航費+現地での生活費(家賃諸々・・・)が必要です。あと、イギリスの大学院の場合、イギリス国内生と留学生で学費が違ったりします。(ざっと見た感じ、留学生は大体2倍)
一方、DLの場合、基本的に出願費用+学費だけで済みます。あと、(大学によるかもしれませんが)DL生の学費は国内・国外同じ、イギリス国内生向けの額で済みます。
次にデメリットですが、「仲間が近くにいない」ことかと思います。
前述のように、悩みを相談することができなかったり、不安を共有できない、わからないところをすぐに聞けない、など。(私の場合は、TeamsやWhatsAppでいろんな情報を共有できていますが・・・)
もう一点、これは別にオンラインでもそうでなくても関係ないと思いますが、「全部デジタル」。
日本の教育現場だと、まだまだ紙のプリントを配付しているイメージが強いですが、文献も全部デジタル配付です。(これは多分、現地生に対しても)
私はiPadにGoodNotesというアプリを入れて、これで読むか、自宅のプリンターで印刷して読んでいました。
紙の方がいい人は印刷して、デジタルでやりたい人はデジタルで、という選択肢が与えられるのは良いんですが、紙派の人は手間に感じるかもしれません。
あと、当たり前ですが、現地の雰囲気を味わいながら学びたい、英語の環境に身を置きたい人には、オンライン留学は向かないと思います。普段が英語ではないので、英語にさらされる率も圧倒的に少ないです。割と「勉強だけのため」のような感じになると思います。
また、履修前はデメリットとして、「英語のアウトプットが少ないかも」と思っていましたが、これはどう自分が関わっていくか次第だと感じました。実際、現地生とのディスカッションではいっぱい発言したのと、Teams上にも意見はいっぱい書いたので、アウトプット量としては少なくなかったと思います。
*
以上、長くなりましたが、最初のセメスターを振り返ってみて、思う部分を書いてみました。
年が明けて、しばらくしたら次のセメスターが始まります。次は、ブレンド型や反転授業について学ぶ予定です。また学修が進んだら、アウトプットを兼ねて記事を書こうと思います。
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