双極性障害躁状態の始まり

2008~2009年のうちの半年間。1度うつ病で休職したけど、回復し普通の日常生活を送っていた。仕事もできていたし、不安な気持ちになることもなく過ごしていた。

躁状態は急にやってきた。2012年の3月。ふとこう思った。独立しよう!今まで独立しようと1度も考えたことはなかったし、当時の仕事に特に不満はなかった。なのに、なぜか突然そう思った。

上京してできた学生時代の友達と飲みに行ったある日、私は「独立しようと思うんだよね!」と伝えた。友達にはいい意味で「変わったね!」と言われた。この時はまだ躁状態が激しくなく、仕事を頑張ろうとしている位にしか見えなかったと思う。少しずつ、少しずつ躁状態が強くなっていった。

私は続けていた仕事を辞めた。独立の準備は何もしていない。でも、根拠のない自信だけがあった。私はすごい人だから!何でもできる!そう強く思っていた。アイディアだけはいっぱい出てきた。そして、興味を持ったことややってみたいことにはお金をかけた。

まずは美容の仕事で独立しようと思っていたので、知り合いの人に場所を時間で借りてやったりした。けれど、お客さんは大していないし、売上も少ししかなかった。お金が足りないので、日払いの仕事をしたりした。

他にもビジネス関連の仕事にお金を使った。投資用のソフトを買ってみたり、ビジネスセミナーに行ってみたり、Facebookで繋がった人から紹介された仕事をしてみたり。しかし、投資した結果は何も出ず、お金がなくなっただけ。紹介された仕事も1ヶ月位で辞めた。色々と始めるけど全然続かなかった。

5月頃にはなぜか引っ越しもした。23区外のアパートに住んでいたけど、23区内のオートロック付きのマンションに引っ越すことにした。家賃は今までの+25000円。普通に考えたらおかしい。仕事を辞めて、収入源もそんなにないのに何で引っ越すのか…。これらは散財の始まりだった。

双極性障害の躁状態の症状に散財がある。それだった。厄介なことに自分では躁状態に気付くことができないのだ。私はあるだけお金を使いまくった。自炊をしなくなり外食。基本電車で移動してたのにタクシーを使い始めた。やってみたいことにはお金をけっこう使った。人と話したくてしょうがなくなり、いつも電話をかけていた。通話料金が恐ろしいことになった。メインのスマホ月8000円が2万になり、通話用で持っていたサブの携帯が6万の請求。サブの携帯の料金は額が高過ぎて払うことができなかった。督促状も何度も届いた。

160万あった貯金は数ヶ月でなくなった。現金がなくなったので今度はクレジットカードを使い始めた。しかし、すぐにまた使ってしまい、上限に達した。手元にお金がなくなったので消費者金融に手を出してしまった。生まれて初めて借金をした…。元々お金を使い過ぎるタイプではない。家計簿もつけていたし、コツコツ貯金もしていた。自分の収入で買える物しか買っていなかった。

お金がなくなっているのに、使うことを止めることができなかった。そして、消費者金融から借りることもできなくなった。返済もなかなか出来ず、消費者金融からよく電話がかかってきていた。それからは何とかしてお金を作らないとと思い、休まず働いた。持っていた物を売って何とか10万位作ったけど返済ですぐなくなった。

電車賃すら払えなくて、後で払いますと書類に記入して電車に乗ったこともある。家に帰ったら電気がつかなくなってたこともあった。口座にお金がなくて引き落としができなくなっていた。

お金の問題だけではない。躁状態は他にも症状があった。ちょっとしたことで怒るようになった。そして、私はすごい、偉い、何でもできると思う万能感が強く出てきた。上から目線の発言、自意識過剰がひどかった。言ってることもおかしく、周りから頭がおかしいと言われるようになった。次元が違う発言をしていたので、友達が引いてることもあった。ヤバい言動が多過ぎて、友達や同期がどんどん離れていった。大喧嘩することも増えた。当時はかなり縁が切れた。自分は悪くない、離れていっても何ともないと思っていた。この時は気付かなかった。けど、後に後悔する…。

躁状態はテンションが高くなり、とりあえず誰かと話したい欲がすごかった。飲み会やパーティーに行きまくった。1人でBARやクラブに行ったりもした。Facebookで知り合いでもない昔の同級生や友達の友達にメッセージを送ったりしていた。幹事をするタイプでは全くないのに同窓会を開いたり、飲み会を企画したりした。あまり眠らなくても元気だった。じっとしていられなくなり、夜中から飲みに行って朝帰りしたりもした。

異性への興味もかなり出てきた。7年程ずっと好きだった人がいたのに、色んな男の人とも遊び始めた。飲み会やパーティーで自分から話しかけて連絡先を聞きまくっていた。今思うと異常だ。けど、当時は自分のおかしさに気付かなかった…。

続けていた仕事も辞めてしまい、独立する!と言っただけで結果は何も残らなかった。友達や同期もいなくなり、人間関係は崩壊。信頼もなくなる。お金もないし、残ったのは借金だけだった…。

2012年秋。借りれるところももうなくなり、お金を稼がないと支払いができなくなったので、休みもなく働き始めた。掛け持ちして仕事をすることもあった。けれど、働いても働いてもなかなか借金がなくならない。使えるお金がなくストレスも出てきた。徐々に疲れも溜まり、少しずつ病み始めてしまう…。それまでできてた仕事が苦痛になり、行きたくない、上手く話せなくて笑えなくなった。仕事以外の時間はベッドで横になってぐったりしていた。でも、働かなきゃお金を作れない。気力だけで何とか仕事に行っていた。

2012年年末。実家に帰省して、年末年始だけ休んでまた仕事を頑張ろうと思っていた。地元に着いて親とごはんを食べていた。そしたらなぜが急に涙が溢れ出したのだ。その次の瞬間、体が重くなり、動けなくなってしまった。少し休めば良くなるはず。しかし、休んでも体は動かない。東京に戻らなきゃ。戻れば体が動くかもしれない。動け!何度もそう思った。しかし、体はもう限界だった…。うつ状態になってしまったのだ。結局、借りてた部屋は引き払い、東京いた家族に荷物をまとめて送ってもらった。働けないので借金が返せなくなった。親には言いたくなかったけど、消費者金融で借金してしまったことを伝えた。そして、立て替えてもらった…。本当に情けなかった。私は何もできなくなった。

この時から地獄のうつ状態が始まる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?