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運命共同体。

各地で積雪が観測され、冬本番となった今日この頃。
そんな冬の夕暮れに我が家のインターホンが鳴った。
宅配を頼んだ記憶もなかった私は、家族の荷物でも届いたのか思い、急いで2階から駆け降りた。
だが、玄関のドアにはもう既に人影はなく、引き返してしまったのだろうと思いながらも、念のため、扉を開いて辺りを見回した。
すると、庭から少し降りたところにある駐車場からひょっこりを顔を出す老夫婦が見えた。

事情を聞いてみると、我が家の駐車場にたまっていた落ち葉を片付けにきたとの事だった。
老夫婦の庭には大きなモミジの木が立っているのだが、その落ち葉が近隣の民家へ吹き飛ばされてしまったため、2人で片付けに歩きまわっているらしい。
なんと律儀な人たちなんだ。
近所付き合いを気にしてなのかはわからないが、この寒空の下、せっせと落ち葉を集める老夫婦に胸を打たれてしまった。

私は、その姿をただ見ている事ができなかったのだ。
そして一度自宅へ戻り、キッチンから大きなゴミ袋を取り、ほうきとちりとりを掴んで再度私は駐車場へと向かった。
ほうきで落ち葉を掃きながら、老夫婦と少し世間話をしたのだが、その会話にも私は心を打たれた。
『もし、家を建てたら、庭に大きなモミジの木を植えよう。』
老夫婦は昔、そんな約束を交わしたらしく、ようやくその夢を叶える事が出来たのだと笑顔で話したのだ。
2人で夢叶え、2人でその責任を全うしているその姿に私は憧れを感じた。
きっと、運命共同体とはこういう人たちの事を呼ぶのだろう。

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