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ゴミのこと

今日は今からポルトガル対モロッコ戦、そして今夜はフランス対イギリス戦がある。移民の多いフランスではまだまだワールドカップで大いに盛り上がっております。

それにしても日本は残念でした。PK戦って技術よりも運とか勘とか、私のような素人目には、ジャンケンと同じように見えるんですけど。。。あれで勝敗を決めるのって強引過ぎやしませんか?

でも今回の奮闘ぶりで、もしかして日本って強くなってるんじゃね?と海外メディアに印象付けることが出来たと思うので、次回に期待大です。

そして日本代表選手たちが褒められるのと同時に、日本人サポーターが観覧席の掃除をしている姿もちょこっと称賛されました。

そりゃぁめっちゃ嬉しいですよ、褒められたら、ね。「日本人はキレイ好きで素晴らしい!」なんて賞賛されたら嫌な気はしない。でも、

日本人はキレイ好きだから日本の街もキレイなのよね。

と言われたら。。。悪い気はしないけど、それって本当だろうか?と心の片隅に疑問が残ります。


日本にだってゴミは落ちている
日本にだって、うっかり落ちちゃった感じじゃない、しっかりと意思を持って置き去りにされたり捨てられたりしたゴミが落ちている。

都市の大勢人が行き交うような場所は、掃除をしているからキレイなのだ。住宅街や地元の商店街などでも近隣助け合って清掃をして、清潔な空間を保っている。

誰かが掃除をしているからキレイなのだ。

じゃぁ人の行き来が少ない場所や、近隣に人が住んでいない場所はどうだろう。空き缶やコンビニ袋、弁当やパンやお菓子の包装袋や容器が落ちているのを見たことがない人がいるだろうか?

たまたま何かの拍子で落としてしまったのだというには少々違和感のある、道に落ちているゴミたち。日本にだってゴミは落ちている。


例えば人気の少ない場所
ウチの地元には定番ドライブコースの山があって、眺めのいいデートスポットがいくつかある。駐車スペースがあるところや、夜景が眺められるところとか、そんな人気は少ないけど人がよく行く場所にゴミは落ちている。

落ちてるよね?

海岸線の堤防の上とか、座って海を眺められる場所にも空き缶が置き去りにされていたりするし、タバコの吸い殻だってたくさん落ちている。

タバコの吸い殻ってゴミだよね?

そりゃあフランスと比べたら落ちているゴミの量は比べ物にならないかもしれない。でも落ちていないことはないし、故意に捨てる人がいるのも事実。

そんな事実を知っているからこそ、海外で「日本人はキレイ好きで日本の街にはゴミひとつ落ちていない」なんて称賛されると気まずい気持ちになる。


掃除教育
確かに日本では小さな頃から学校で掃除をする習慣がある。私が通っていた小学校には「整理整頓」と書かれた紙も貼ってあった。身の回りをキレイにしましょうと教えられるのだ。

だから日本で教育を受けたほとんどすべての人の心の奥底、隅っこのどこかには、「ゴミ箱以外の場所にゴミを捨ててはいけない」という倫理観が刻み込まれている。「道端にゴミを捨てるのは悪いこと」という認識がある。

それでもゴミを散らかしてしまうのは多分、盗んだバイクで夜を駆けるのがカッコいいと思っている反逆的な行為に酔いしれる人たちの仕業なのだと私は思う。ゴミを捨てて、社会の秩序を乱してやったぜ!と粋がっているのだ。

でなければ、「身の回りをキレイにしましょう」の意味が分からないまま学校を卒業した人たちだ。


ゴミ箱がないのにゴミが落ちていない?
日本の公園や街中にはゴミ箱を設置していない場所がある。ゴミはゴミ箱に捨てるものだと思っているほとんどの日本人は、ゴミ箱がなければゴミを捨てようと思わない。

捨てようとしたゴミはポケットやカバンの奥底に仕舞われて、うっかり落としてしまうリスクすら軽減できる。

故意にゴミを落す反逆者たちも、衆人の目前でゴミを巻き散らかすようなことはしないから、ひっきりなしに人がよく通る場所はゴミ箱がなくてもキレイに保たれる。

それを見た外国人が、オー!ワンダホー!日本にはゴミが落ちてなーい!と言ったのかどうかは定かではないが、まあ、日本の街はキレイだ!とでも言いふらかしたのでしょう。

もちろんうっかり落ちてしまったり、人目を忍んでワザと落されたりしたゴミは、掃除の人が拾い集めて片づけてくれている。

私や僕がゴミを散らかさないからキレイなのではない。意図しようがしまいが、ゴミは落ちてしまうもの。誰かが掃除をしているからキレイに保たれるのだ。


ゴミが散らかる街
フランスでは、日本の比じゃない量のゴミがあちらこちらに散らかっている。道端の溝とか、街路樹の根元とか、近所の角を曲がったところとか。

歩きタバコや立ちタバコをしている人がポイ捨てするのもよく見る光景。灰皿が設置されている場所でも、ハトに餌をやるような自然な仕草でポイっと捨てる。まるで、道は灰皿だとでも思っているように。

一時期テロが多発した際に一斉に取り外された街中のゴミ箱は、いつの間にやら元通りに再設置されている。にもかかわらず、人は道端にゴミを捨てたがる。そこにゴミ箱があるのにわざわざ手前の道脇に捨てるのだ。

清掃員や、ゴミを回収する人の仕事を失くさないためにそうやって捨てているのだと訳の分からんことを言う人がたまにいるけれど、そんなのはただの詭弁。だいたい、清掃員やゴミ回収の人たちのことを本気で考えているなら尚更、ゴミのポイ捨てはしないのでは?と思うのは、やっぱり私が日本人だからなのか?

故意に捨てずともゴミは散らかるものだから、清掃員が不要になる日が来るとは思えない。それどころか余計なゴミを増やすことで、衛生的にも体力的にも過酷な環境を作って押し付けているとは思えないのだろうか。


禁煙になった公園
今年になってウチの近くにある公園の入り口に、禁煙サインが一斉に張り出された。公園内は禁煙となったのだ。

これはゴミの量だけの問題でなく、ポイ捨てされた吸い殻から滲み出る有害物質が土壌を汚染するからという理由もあるのだそうだ。

道端にゴミが落ちていると、景観だけでなく、やはり環境的にも衛生的にもよろしくないことが諸々とあるのだということ。

大量のゴミが無造作に捨てられているフランスでさえも、そうやって対策に乗り出している。何年か先、日本よりもフランスの方がキレイだね、なんて言われることがあるのかもしれない。。。って自分で言っておきながら、そりゃないわ、と心の中で呟いてしまった。


いつの日か、「日本の街はゴミひとつ落ちていなくてキレイだね」と言われて、素直に喜べる日が来るといいな。


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