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嘘をつくフランス人

注文した商品が期日に届かない。ここフランスではよくあること。

特に急を要するものではない。ただ、その日その時間に届くと言われたから待っていただけだ。

なのに、待てど暮らせど何の音沙汰もないから心配になって問い合わせをする羽目になる。だってお金払ってんのに商品が手元に届かないって、めちゃめちゃ感じ悪いやん。

遅延が出るならそう言ってもらえればいいし、その日に待つ必要がなければ別の用事を済ませられる。届かない荷物を待ち続けることほど無駄な時間の過ごし方はないのだから。

問い合わせをして、その日に届かないと分かったら、実際に届く日にちを教えてもらえればそれでいい。簡単なことじゃないか。それだけで全てがまぁるく収まる。

なのにそこでフランス人は嘘をつく。全く必要のない無駄な嘘をつく。

◇◇◇

先月眼科へ行った際、私に合う度数のコンタクトレンズの在庫がなかった。注文するから十日ほど待って下さい、と言われたので待っていたが、二週間経っても連絡がない。あとどれくらい待てばいいのか知りたいと思って問い合わせをしたら、ちょうどさっき届いたところで、今から連絡しようとしていたのだと言う。

今までは、視力検査をして処方箋をもらうだけだったコンタクトレンズだが、いつも使っているものと度数が変わる場合は、一週間ほど試しで装着をして、問題がないか確認しなければならないらしい。

いちいち眼科医の予約なんて取らなくても、渡してくれたら家で勝手に試すのに、なーんて思いつつ、眼科医の立ち合いが必要なのだと言うから仕方がない。そういう決まりなのだと言われたら従うしかない。

ということで、問い合わせの電話のまま診察の予約を入れることになった。

だがしかーし!!その予約が十日先にしか取れないと言い張るのだ。なぬ!

フランスには医者の予約を取るDoctolibというアプリがあって、予約状況の確認できる。不審に思って電話をしながら見てみたら、当日の予約だって取れちゃうほど毎日ガッラガラに空いているではないか!!

なのに電話越しの医療事務の女は、十日後しか予約が取れない、と頑なだ。

別の日は?と尋ねると、そのまた一週間後の日にちを提示してきた。

もっと早い日にちで予約は取れないのかと粘って聞いてみると、コンタクトの試し装着には専門知識を持ったスタッフが対応しなくてはならず云々云々。。。と意味の分からないことを言ってくる。

だって眼科医だよ!常時専門知識を持った人たちがいて当然でしょ!そこら辺のおっさんやおばはんが私の目を覗き込んでるわけじゃあるまいし!!

試し装着くらい家でも出来るわ!と叫びたいところをぐっと我慢して、押し問答をしてもどうにもならないと悟った私が折れることにした。

予約当日、普段のスタッフに試し用のコンタクトを渡されて自分で着用し、ささっといつもの検査をして二十分ほどで診察は終了した。

何のために十日も待ったのか??

十日もあれば、在庫のないコンタクトレンズを取り寄せることが出来る。だって当初から十日で届くって言ってたじゃん。

あれは確実に病院側が忘れていたに違いないのだ。そもそも十日で取り寄せできるものを二週間待って、音沙汰がないからこちらから連絡をしたのだ。私が連絡をしてそのミスが発覚したに違いない。そして慌てて取り寄せて十日。うん、日数的にも辻褄が合う。

こんなにも分かりやすいその場しのぎの嘘をつくなんて、幼稚の極み。どうして、忘れてました、とか、手続きのミスがありました、とか、一言スミマセンって言えないのだろう。なんでこんなすぐにバレるような嘘をつくのだろうか。

◇◇◇

先週は、注文していた商品が届くと言われていた時間になっても引き換え番号がスマホに送られてこないので、某有名家電屋に問い合わせをした。

最近は何でもかんでもシステム化されていて、客が店舗に直接問い合わせをしても、引き換え番号がなければ対応してもらえない。なので、購入した時の注文番号でカスタマーセンターに問い合わせをした。

カスタマーセンターのお兄さんが店舗に問い合わせをして状況を教えてくれたのだが、結局、商品が店舗に届かなかったから引き換え番号を送れなかったということらしい。

では、いつ届くのか?と聞くと、翌日の午後遅い時間になるだろうと言う。理由は、その日は配達のトラックが急に来れなくなって、翌日午後遅い時間まで次の配達便がないからなのだと言う。

トラックが急に?来れなくなる?そんなことある?予期せぬ出来事があったと言い張るが、店舗を巡る定期便の配達トラックが急に来られなくなるって、ホンマかいな!?なんだかちょっと眉唾なニオイがプンプンする。

それに、予定していた日程で届かないって分かった時点で連絡くれりゃーいいものを、こちらが連絡するまで黙ってるなんて。え?どーいうこと?放置プレイなのか?

結局翌日にも届かなかったので、また問い合わせをしたら、また同じ言訳を始めた。いい加減腹が立ったので、私の買った商品が今どこでどんな状況にあるのかも分からないなんてどーゆーことよ!在庫のない商品を売りつけてるんじゃないでしょうね!と怒りをぶつけてみた。

久し振りに怒りの感情を発散させたので、少しめまいがした。

すると暫くカチャカチャした後で、自社の保管倉庫にある、まだ発送されていないのだと言いやがった。OMD。じゃあ前日のトラック云々は嘘だったってことっすよね?なんでトラックが来なかった、なんて嘘をついたのか!?

そう言うと私が納得するとでも思ったのか?トラック自体が来なかったんだから、商品だって届くわけありませんよ、ね。ってか??

そもそも最初に教えてもらった商品の受け取り日時はなんだったのか!その日に届かなかったから問い合わせをしたのだよ。最初から本当に届く日程を教えてくれていれば、こんなにイラつくことはなかったはず。

ってゆーか、単に発送し忘れてただけなんじゃない?前日に問い合わせをしたにもかかわらず、翌日にまだ倉庫から発送されていなかったなんて、よっぽど取り扱い荷物が多くて後回しにされていたか、忘れられていたかしか考えられない。

結局、怒りの問い合わせをした翌日に商品は届いた。前日の夕方にはまだ倉庫で眠っていた商品が、翌日の午前中には店舗に届いていた。多分私が怒ったせいでフラグが付いて、キッチリとお届けされたのだろう。

◇◇◇

モンスター的な客からの攻撃を避けるために、非を認めることが出来ないのかもしれないけれど、嘘をつかれると心は傷つき、悲しみと怒りを生み出すことになる。

私としては、出来れば怒ることなく平穏に暮らしたい。責任を取りたくないフランス人のその場しのぎの嘘に振り回されるのはもううんざりだし、脅しをかけて強く言わないと何もしてもらえない状況には心底疲弊する。

テクノロジーが発達して便利な世の中になっても、人の作業能力が変わらなければ何の進歩もない。テクノロジーと人との間に大きなギャップが生じて、無駄な不安や不信感が増すばかり。

とりあえずカスタマーサービスの人は、誰のメリットにもならないその場しのぎの嘘をつかないってことにしませんか?

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