桑の実の季節に。

関東は梅雨入りし、季節がまた一つ進む。

5月の下旬頃から、息子は毎日靴や体操服を紫色に染めて帰ってくる(ここ何日かはお天気が悪いので綺麗だけれども)。今年も桑の実の季節になった。

ちょうど私が梨木香歩さんの『不思議な羅針盤』を読んでいて、桑の実ジャムの話があったことを伝えると、早速「ジャムにしてー!」と10個程の実をビニール袋に入れて持って帰ってきた。幼稚園のものだから、家に持って帰って来てはいけない、と伝えつつも折角なのでその少ない実(しかも袋の中でつぶれてしまっていた)を使って、ジャムを作ってみた。

なにしろ地面に落ちているものも拾ってくるので、丁寧に洗う必要があり結果的にごくごく僅かな量ではあったが、3人で分け合った桑の実ジャムは美味しく、また作ろうねとうっかり言ってしまう程であった(今度はもっと沢山持って帰ってきそうだったので、すぐに撤回)。

何より驚いたのは、桑の実を収穫すべく息子が木に登ったと話したことである。現代っ子の性なのか、年長の息子は虫が大嫌い。当初は虫がいるから木には登らないと言っていたが、先生が木を揺らして落とす分は園児が我先に争って取ってしまうので、足りなかったらしい。

実は、桑の木はこれまでの幼稚園生活を支え続けてくれた。コロナ禍の休園明け、初めての登園を支えてくれたのは幼稚園で桑の実を食べてみたいという気持ち。ちょっと苦手だった先生と仲良くなれたのは、先生が沢山桑の実を取ってくれたから。世間で言うところの五月病から子供を守ってくれた。まさしく、桑の木様様である。

そんな息子も年長さん。来年は幼稚園で桑の実を食べられないんだなあと思うと、息子の成長を実感すると共に寂しさを感じ、早くも涙する母である。小学校にも桑の実あるといいなあ。ないだろうなあ。幼稚園に遊びに来た小学生、園児を押しのけるようにして桑の実取ってるもんな。

来年新しい環境を楽しめるように、今年は思いっきり桑の実を堪能して欲しいものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?