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なぜカナダは留学したい国なのか?

実は、留学ジャーナルの調べで、カナダのバンクーバーは2023年留学生が選ぶ人気都市ランキングのトップに君臨しています。そしてカナダのトロントが4位。なんとトップ5にカナダの都市が2つもランクインしています!

なぜカナダが留学先として人気があるのか?には理由があります。

この記事では、私自身がカナダでの就学と就職経験を通して学んだことに加え、カナダ政府の国際教育担当として勤務した経験からその理由をお伝えします。

この記事を読むと、カナダ留学がなぜ人気なのかが分かりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。


留学の選択肢が豊富

1.カナダの教育について

カナダは日本の27倍の面積を持つ国で、カナダには10の州と3つの準州があり、教育は州の管轄となります。このため、州により教育のシステムが若干異なり「カナダの教育では」と一言でまとめることは困難です。従って、この記事では、留学先の一番人気であるバンクーバーがあるブリティッシュ・コロンビア(BC)州をメインとした説明となりますので、あらかじめご了承ください。

教育システムの違いについては、以下の図が分かりやすくまとまっているのでご参考までに。

州別カナダの教育制度(引用:カナダ留学ガイド)


2.中高生向けの留学

① 公立校
カナダの小学生から高校生までの90~95%(州により若干異なる)は公立校に通っています。留学生が公立校に入学する場合は、学校に申請するのではなく、いくつかの学校をまとめている地域の教育委員会(BC州の場合はスクールディストリクト)に申し込みます。人気があるのは、1年留学、高校卒業までの留学ですが、1学期(約5カ月)、1か月の受け入れをしてくれる教育委員会もあります。また、サマーキャンプに参加の場合は現地学生と一緒ではなく、世界中から参加する同年代の学生さんがクラスメイトです。滞在方法は、公立校の場合ホームステイが一般的。

② 私立校
私立といってもさまざまなパターンがあり一括りにはできませんが、大きく以下のように分けて考えることができます。

  • 全寮制

  • クリスチャンスクール

  • インターナショナルスクール

私立は学校ごとに校風が異なり、その校風に共感した方が入学しています。クリスチャンスクールは信者関係者でなくても入学可能です。また、上記以外に当てはまらない私立の学校もあります。例えば進学校で滞在方法は学校関係者のご家庭でのホームステイという学校などです。

Bodwell High School

3.大学生、社会人向けの留学

① カレッジからユニバーシティへの編入
編入は留学生の救世主といっても過言ではありません。カナダの大学は他の英語圏のそれに比べ入学に必要な英語レベルが高めです。また多くの総合大学では1クラスの人数が多く、留学生は授業についていくのが大変な場合が多々あります。これらの難題を救ってくれるのが、編入システム。カナダでは大学(カレッジ、ユニバーシティ問わず)間の単位を移行することが可能です。従ってカレッジで学んだ2年間の単位をそのまま移行し、有名大学の3年生に入学するというシステムが確立されています。カレッジでは1クラスの人数が少なく授業についていきやすく、サポートも受けやすいというメリットがあります。

② カレッジで資格取得
カレッジでは、編入プログラム以外にサーティフィケート・ディプロマと呼ばれる資格取得のプログラムも充実しています。1~2年のプログラムで、アカデミックな学びではなく実践的な学びです。修了後は就職したり、よりアカデミックな学びを深めるために大学進学する人もいます。資格取得のプログラムは、幼児教育、介護、医療関係、IT関係、ビジネス、ツーリズムなど多種多様。プログラムの中にインターンシップがすでに含まれるコースもあります。

③ インターンシップ留学
上記と似ていますが、こちらは目的がインターンシップです。カナダにはCo-opと呼ばれる有償でインターンシップを提供するプログラムがあります。プログラムの半分(またはそれ以上)は、学校で座学、履歴書の書き方、仕事の探し方などを学び、残りの期間は有償でインターンに挑戦。終了後はサティフィケートかディプロマを取得できます。現在は、日本人大学生にも人気があり、1年大学を休学してこのプログラムを受講する方が増加しています。

④ 大学進学
カナダには世界的にもレベルが高いと言われるトロント大学、ブリティッシュ・コロンビア大学、マギル大学などがあります。公立の大学はすべて州立大学です。カナダでは日本のような入学試験はありません。高校の成績や社会活動、IELTSなどの英語力を証明するスコア、高校の卒業証明書などの提出で入学が判定されます。アメリカに比べ大学の数が少ないこともあり、有名大学以外でも入学に必要な英語レベルは高めになります。

Langara College

留学先として魅力的な環境

1.高い教育レベル

中高生レベルに関しては、経済協力開発機構(OECD)の調査で、PISAという統計があります。これは世界79か国(2018年の場合)の15歳の学生が同じテストを受け、そのスコアや傾向の結果です。この統計によると、カナダは英語圏(カナダ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド)の中でどの教科(読解力、数学、科学)もトップのスコア。一方、高等教育レベルにおいては、イギリスのTimes Higher Educationのランキングによると、世界の大学ランキングで東京大学は39位です。カナダのトロント大学は18位、ブリティッシュ・コロンビア大学は40位と発表されています。

2.第二外国語としての英語教育研究の先進性

カナダは1971年に世界で初めて「多文化主義政策」を導入し、毎年移民を受け入れている国です。カナダ政府によると2022年は、43万7,180人を移民として受け入れたと発表しています。移民の数は受け入れ始めてから年々右肩上がりです。移民の方々は必ずしもカナダの公用語である英語・フランス語が理解できるとは限らないため、長年にわたり英語とフランス語を第二言語として教育する研究と実践がされてきました。BC州では生活する上では英語がメインになりますが、ケベック州ではフランス語が話されています。

3.多様性を体験で学ぶことができる

カナダでは毎年多くの移民を受け入れることから、同じカナダ人であっても国民のバックグラウンドはそれぞれです。カナダ政府の報告では、カナダ国民は民族的に250以上の異なるバックグラウンドがあり、5人に2人は複数の民族に属しているということです。このため、現地のクラスに入ったとしてもまるで国際クラスに入った印象を受けることも少なくありません。色々な民族的背景を持った人が在籍し、学校では英語やフランス語を話すけれど、家では家族と違う言語で会話をする人も多くみられます。このような状況を机上ではなく実体験として経験できます。

4.ネイティブ英語以外の英語が普通に話されている

明確な数字は分かりませんが、現在、世界で一番多く話されている言語が英語で、約15億人。その中で英語がネイティブなのは約3.8億人のようです。つまり、将来的に英語でビジネスをすることになった場合、英語がネイティブではない方と話しをしなければいけない確率のほうが圧倒的に高くなります。カナダには英語ネイティブではない国民も多くいらっしゃり、特に都会で生活しているといろいろなアクセントを持つ人が多いことが分かります。普段の生活でグローバルな英語環境を感じることができるのもカナダの魅力です。

5.比較的安全

留学先の安全性は、親御さん以外は見落としがちかもしれません。The Economist という企業の発表によると、世界で一番安全性の高い都市がコペンハーゲン、2位がカナダのトロント、3位がシンガポール、4位がオーストラリアのシドニー、5位が東京となっています(2021年)。まったく知らない土地で生活する場合、安全性は重要です。100%安全な場所はこの世の中に存在しませんが、比較的安全な場所を選択するということは留学中の生活を楽しくしてくれるひとつの材料になります。

6.自然と都会の調和

カナダの3大都市は、トロント、モントリオール、バンクーバー。どの都市もそうですが、街中に緑が多いのが特徴です。また車で30分ほど走ると大自然が待っています。カナダは山というイメージが強いですが、トロントはダウンタウンから広大なオンタリオ湖を見渡すことができ、バンクーバーはダウンタウンでありながら海と山の景色を楽しめます。まさに、自然と都会が調和した場所で、自然の中で生かされている都会の生活を感じることができます。

University of British Columbia

まとめ

ときどき「カナダ留学は何かいいんですか?」と聞かれることがあります。回答は年代や目的により異なりますが、親子留学、中高生留学、大学進学、インターンシップ留学、キャリアアップ留学、語学留学、さらには移住を見据えた留学など、どのような留学にもそれぞれの魅力を持つのがカナダだと思います。もし、留学に興味がある方がいらっしゃれば、是非カナダ留学も視野に入れてご検討ください。

私は就職をして4年目に退職し1年間カナダ留学をしたことで、人生が大きく変わりました。もし高校生の時に1年留学させていただく機会があったとしたら、人生はもっと飛躍的に変わっていたと思います。しかし、就職をしてからでもカナダ留学をした1年がなかったら、今のように楽しい人生にはなっていなかったことは間違いありません。留学をしたい、人生を飛躍させたい、人生を好転させたいと思う方がいらっしゃれば、是非勇気を出して一歩踏み出していてください。

<参考資料>
PISA 2018 Insights and Interpretations FINAL PDF.pdf (oecd.org) 
https://www150.statcan.gc.ca/n1/daily-quotidien/220817/dq220817a-eng.htm  
World University Rankings 2023 | Times Higher Education (THE)  
https://www12.statcan.gc.ca/census-recensement/2016/as-sa/98-200-x/2016016/98-200-x2016016-eng.cfm  
Canada's population grew by record 1 million in 2022, spurred by international migration | CBC News  
https://www12.statcan.gc.ca/census-recensement/2016/as-sa/98-200-x/2016016/98-200-x2016016-eng.cfm  
https://www150.statcan.gc.ca/n1/daily-quotidien/220817/dq220817a-eng.htm  
The most spoken languages worldwide 2023 | Statista
The 100 Most-Spoken Languages in the World - Word Tips
https://novanexus.jp/know-how/5444/09/06/2021/  
Safe Cities Index 2021 – Home (economist.com)

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