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あなたがいるなら

掴み損ねたものたちが

わたしの心を縛り付けてわたしはなかなか動けない

後ろ向きの電車の座席に乗った時の風景がこちらに向かって迫ってくるみたいに

失ってから気づいた大事にすべきだった大切なものたちが後から後から今の虚ろな心目がけて飛び込んでくる

思い出して、思い出してく

絡まって歪んで正常じゃない自意識の中で、正解を選べなくてごめんね

気を抜くといろんな記憶が後悔たちがそこにあってふらふらになって、また猫背で歩いてる


手を伸ばしてもいいところに大事にしてくれた、大事にしたかった、あなたがいるなら、もう少しだけ生きようと思うけど

すり抜けていくなら、

わたしだけあなたを思い出して、伸ばした手はすり抜けていくなら

わたしは生きている意味なんてあるんだろうか


死んだように暗い目で生きて、ピエロみたいに社会の歯車で、幽霊みたいにあなたのことを思い続ける

こんな日々の先に希望はないのに


傷ついているのはわたしだけじゃなかったから

なおさらわたしはあなたを傷つけたわたしを許せなくて、まだ、また正解を選べないでいる


手を伸ばしたい

わたしはあなたが欲しかった

いつも失ってから気づくの

大事な時ほど本当の自分の声が聞こえない


あの時あなたがいる未来をこんがらがらずに選べたら

わたしは堂々としたわたしでいられたかもしれない


あなたがいない

あなたがいない

これはわたしの生きたい世界じゃない

もう一度なんてないなら

もうあなたと瞳を交わせないなら

一見恵まれたこの世界も色のない空虚にしか思えない


あなたがいるなら

あなたがいたなら

もう少し強くいられたかな



written by 見空 2020.9.28

image photo by C様