おひつじ座11度 サビアン
大統領
ノートを閉じた旅人は、丁寧にお礼を言って、もう少し裏路地の散策を続けることにしました。
同じ顔のポスターがいたるところに貼られているのに気づきました。この国の大統領のようです。
見ると、大統領のグッズを売っている店がありました。ポスターに、マグカップに、フィギュアに、マグネット、鉛筆に消ゴムなどなど。
店番は子どもでした。
「大統領だらけの店だよ。記念にどう?」
「大統領はどんな人?」
「知らない。みんなから選ばれた人だから偉いんだろう?すごい人だから大統領になれたんだろう?」
「なりたい?」
「なれるもんなら!」
旅人は、この子を単純にかわいいなと思いました。
でも、きっと大統領は自分の中の大きな野望を見つめるところからはじまって、国を背負い、国を動かすまでになったんじゃないかな、とも思ったりしました。