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Photo by
mericanadesico
氷の舟
一枚の氷の舟に 乗って私は
暗い海を 一人漕ぎ出す
とぷとぷ 氷は海に浸み出す
とぷとぷ 海は氷を溶かす
とぷとぷ 心は透明だから 夜の空気が流れて届く
ああ さむいな なんて
ああ さみしいかも だなんて
ああ 隠し通せないくらいに
心細いのが ほんとうの私
目に沁みるから 冷たい風が
入り込んで どうしようもなく つんと鼻に来るから
胸に流れ込んで 震える
何がそう思わせるのか
何がとか もうよくわからないけど
わけなんてさえ ないのかもしれないけれど
心細いのが ほんとうの私
とぷとぷ
照らし出す あたたかな光に
いっとき忘れてられたとしても
また すっと 涙がこぼれてきたりして
脆くて弱い
氷は少しずつ削り取られてく
なくなってしまう前に
なくなってしまう前に
そう簡単になくなる氷は選んでないけど
たどり着けるように
近づけていけるように
私は 舟を 漕ぎ出していく