おひつじ座20度 サビアン
冬、鳥に餌をやる小さい女の子
ちらちらと雪が舞い落ち、世界は白銀に染まっていきます。
鳥たちは旅人の雪避けになるように上空を追いかけて付いてきています。
「みんな、ごめん。」
旅人は鳥たちにつぶやきました。
「地上に降りよう。どこか温かいところへ。」
旅人は絨毯に言いました。
絨毯は降下していきます。
よく見ると鳥が数羽と、紙袋に餌を持ってぱらぱら撒いている小さな幼い女の子がいました。
上空の鳥たちが少女の方へ集まっていきます。
「とりさん、いっぱい。」
女の子はまた鳥が増えたことに目を丸くしながらも、自分の周りに集まってくる鳥たちに、嬉しそうに餌を与えます。
旅人は魔法の絨毯から降り、女の子に声をかけます。
「一緒にあげてみてもいい?」
「いいよ。」
女の子は紙袋を傾けてくれました。
「おいしい?」
「もお、くいしんぼうだなあ。」
「ふふっ。」
少女の横で鳥に餌をあげているうちに、雪はいつのまにか降りやんでいました。
旅人は餌を撒き終わると少女と目が合って、自然と二人はニッと笑いました。
「ありがとうございました。」
「どういたしまして。」
旅人は、小さな少女から共有するよろこびを教えてもらったように感じました。