おうし座2度 サビアン

雷雨

ぽつぽつと雨が当たり出しました。
旅人は山を下り終えたところでした。

空が暗く、雨粒が大きいので、急にざあっと降ってくるかもしれないと、旅人はとっさに四阿(あずまや)に避難しました。
すぐに雨脚は強くなり、地面に打ち付ける水が跳ね返るのがはっきりと見えるくらいに激しくなりました。

空がピカッと光りました。
ーーゴロゴロゴロ

旅人は手で耳を覆っていました。

稲妻が光ってはまた、空が轟きます。

手は少し震えていました。

稲光を怖いと思ってぎゅっと目を閉じましたが、それでも近くに落ちないかと気になって薄目を開けました。

にわか雨だからそう長くは続かないと自分に言い聞かせていました。


反射、緊張、怖れ、この感覚はどうして湧いてくるのだろうと思いました。

落ち着こうと水を飲んだ時、口から流し込んだ水が喉を伝っていくのをはっきりと感じました。

旅人はふと、自分が今ここでこの体で生きているからかなと思いました。


少し経つと雨は上がり、先ほどの激しい雷雨は嘘だったかのように晴れてきました。