おうし座8度 サビアン

そり(雪はない)

旅人は街の広場に出てきました。
水道の水を水筒に汲んで飲みながら中央のモニュメントを見上げています。

雪が降る季節でもないのに、中央に大きなそりがありました。

まるでサンタクロースが乗ってくるものみたいなのでなんのためにあるのか、と旅人は不思議に思っているようです。

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クリスマスイブの晩、サンタクロースはそりに乗って、いい子にプレゼントを届けにやって来る。

古い話では、届けに来るのはいい子にだけ。

サンタクロースは悪い子にはプレゼントを届けてくれない、この次のクリスマスまでにはいい子になってほしいと期待を込めて。

まるでサンタクロースがどこかから見守っているみたいに、一人一人の子どもたちをどこかからちゃんと見ているみたいに。


サンタクロースを信じている小さな子どもはクリスマスイブの晩、枕元に靴下を用意してプレゼントを期待して眠りにつく。

それは、一年の総決算のようなものではなくて、自分でできる範囲で自分の心をいい子でいられるように見守ってきたんだよと、自分の元にサンタクロースがやって来るのを信じているから、だからこそ、サンタクロースは来てくれると期待する気持ちなのではないかな。幸せな気分でクリスマスの朝を迎えられるように。

子どもたちは、いい心(善意)が自分の家までサンタクロースのそりを走らせることをまだ忘れずに覚えているから。

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旅人は、また少しクリスマスのことについて思い巡らし始めました。