おひつじ座23度 サビアン
重くて価値のある荷物を、覆い隠して運んでいるパステルカラーのドレスの女性
旅人を門の中で待っていたもの、それは真っ白な空間でした。
――何もない。
目の前に広がった、白色の空間は目にまぶしく、頭がぼんやりしていました。
旅人は、もう、門の外で待っているのが望んだものだと聞かされたこととか、そういうことさえ忘れていました。
ふと、白色の空間の中に、やさしいピンクや紫や水色のあわさった淡い色があらわれました。
パステルカラーのそれはすこしずつ、キラキラ反射しながらゆっくりと見えてきて、ドレスの形になりました。
透き通った女性が一人、このやさしい色の美しいドレスを身にまとい、何かを運んでいます。
女性の表情はよく見えず、でも、手を伸ばしても声をかけてもいけないような神聖な印象を受けました。
女性は荷物を、重そうに両手で抱えるだけでなく、気遣うように慎重に運んでいきます。価値があるもののように思えます。
荷物もパステルカラーの布包みで覆い隠されていてよく見えません。
――何を運んでいるのだろう。
高い壺とか花瓶?水晶玉?
いや、もしかしたら形なんてないのではないか。
見えなくて大事なもの?
……心?
心の中でとりわけ価値のある重いものだとしたら?
「――信念……。」
つぶやいて、旅人は自分の中で答えとして、奇妙な連想ゲームだとしても、それがストンと収まった気がしました。
その時、旅人は、女性が自分の方を見たような気がしました。