声楽や管弦楽器とピアノの違い

こんばんは。うのみおです。
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今日はピアノの特性を理解するためのヒントとなる?かもしれないお話をします。

「ピアノの演奏法」は何をベースに発展して来たかご存知でしょうか?

正解は「声楽の演奏法」です。

ダニエル・ゴットロープ・テュルク(1750-1813)は彼の著書である『クラヴィーア教本』(東川清一訳 2018)にて「歌において適切に行われるようなことの多くは、わずかの変更を加えればピアノ演奏の場合にも当てはまる」と述べています。また、渡辺裕は彼の著書『西洋音楽演奏史論序説 ベートーヴェン ピアノ・ソナタの演奏史研究』(2001)において「ピアノ演奏と弁証の媒介項は声楽の演奏法である」と、さらにカール・チェルニーの演奏理論(『完全なる理論的=実践的ピアノ教程』)のベースは「声楽モデル」的な表象にあったように思われるとの見解を示しています。

但し声楽とピアノは声の出し方や楽器としての構造が大きく違います。

例えば、声楽や管楽器、弦楽器を想像してみてください。声楽や管楽器は一つのフレーズを一息で歌うor吹くことでレガートを実現できます。弦楽器も同じ、一つのフレーズを一つの弓の動きで演奏すれば、比較的容易にレガートは実現できます。

一方でピアノは「打弦楽器」とも呼ばれるように、指を縦に動かし一音一音鳴らすため、どうしてもレガートのような"横の動き"を実現するのが難しいのです。

そのような難しさに対して、ハインリヒ・シェンカーは18世紀頃の声楽をベースにした演奏法に大きく影響を受けつつも、声楽や他の楽器と比較することで、独自のピアノ演奏法として解釈を残しています。

「ヴァイオリニストが弓を動かし続けながら個々の音を強調できるように、また声楽家がひとつの息で個々の音を強調できるように、ピアニストも引く際に腕を持ち上げることによって、レガートで演奏しながら個々の音を強調することができる」
ー《The Art of Performance》

次回はシェンカーが述べる「腕を持ち上げる」動きについて深掘りしたいと思います。現在でいう「脱力奏法」を理解する上でもヒントになる考えをお伝えできればと思います。

それではまた☺️


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