甘いお菓子は食べません(感想)
ふらっと立ち寄った本屋でなんだか気になる表紙に出会った。ちょうど本を読みたい気分だったので特に何も考えずに買った。
40代女性の婚活、性欲、口をきかなくなったこども‥心にグツグツと煮えたぎる物足りなさを抱えながら淡々と生きているように見せかけている女性たちの赤裸々なもがき。
文から伝わる圧がすごく、日々静かに闘い続ける女性たちには心を打たれるものがあった。
大人になればなるほど、煮えたぎる心を隠して生活するのが上手くなっていく。大人の余裕なんてものは私たちの幻想であり、大人たちの努力の証なのかもしれない。
この小説を構成している6編の、それぞれ違う6人の主人公たちに100%カッコいい生き方をしている人は誰もいない。
それぞれ違う幸せの価値観を、理解してほしかったり、私は私だ!と思ったり、大切な人との2人だけの秘密にしたかったり、全部がわからなくなってしまったり
似ていないようで似ている6人。
交わるようで交わらない6人。
決して、この物語の中には入れない私。
全く無関係に見えるが、いつも何か足らなくて、満たされたくて、幸せになりたくてもがき続ける私たちは同志なのである。
この本は、紛れもなく"私たちの本"だと思った。
全員が全員、100%満たされた状態でである事はほぼ不可能だ。だからせめて 自分の幸せくらいは自分の方法で理解し、守っていきたい。
私とは年代の違う女性たちに焦点を当てた物語だったが共感する所が多々あり、6人の女性たち共通の"誰もわかってくれないだろうけど"と言う痛みが鋭く、深く感じることのできる本でした。
『甘いお菓子は食べません』
タイトルの意味を、私が身をもって知るのはまだ少し先なのかもしれない。