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ローブと砂漠

2019年の初冬に3日間ほどサウジアラビアのリヤドを訪れた。仕事や巡礼ではなく、完全に観光。基本的に都会の街中をうろうろするだけだったけれども、大変満足な旅だった。その中で、たぶん現地に行かなければ知ることもできなかっただろうこと。


リヤドの街は砂漠の中に存在するだけあって、ほこりっぽいなあとは思っていた。当時は開発が急激に進んでおり、そこここで工事をしていたのも一因である。

その日は行こうとしていた博物館がたまたま臨時閉業しており、予定が狂って時間が空いた。そこで適当なところでUberを降り、散策がてら次の場所まで歩くことにした。時刻は午前中の10:30ごろ。

車社会地域にはよくあるけれど、通常であれば歩いて移動する場所ではない。異国にいるということで興奮していたのと、何より時間を潰したかったので、観察を兼ねて歩いてみるかと思ったのである。


手始めに、通りがかったカフェで苺がたっぷり入ったソーダを買う。ドリンク片手に街歩きなんて今どきだ。

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(日本では買わない、おしゃれ系ドリンク)

まっすぐ目的地に向かうと時間が余りそうだったので、適当にぶらぶらする。

この日はイスラム暦で週末にあたる金曜日だったため、カフェや大型ショッピングモール以外は基本的に閉店中。多くの車が幹線道路を飛ぶように走る一方、歩いている人はほとんどいない。ただ私だけがひたすら歩き続けている。

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(別の日ならもっと活気があったであろう商店街)

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(左の写真の奥側で野良猫を見つけた。
日本の野良猫よりも野性味があるような気がする)


ソーダは徐々に減り、カップが空になった。当然ゴミ箱などは見当たらない。鞄には入らなかったので手に持ってぶらぶらを続ける。

歩き始めて1時間ほど経った頃、さすがにそろそろ捨てたいなあと思ってふとカップを持ち直したときである。

なんと、カップの表面が細かい砂で覆われているのだ。さわると何となくざらついているが、目には見えないくらい細かい。「さらつく」と言った方が適切か。もしこれがプラスチックではなくわら半紙だったら分からなかったかもしれない。

砂漠の近くに住むとこういうことがあるのか。

渡航前には地球の歩き方とか大使館情報とかを読んでいたし、タクシーはUberを使うこと、アバヤを着ること、金曜日は基本的にお休みであること、観光スポットの営業時間は当てにならないことなどなどは把握していた。

でも外を歩いていると砂が付くなんて、現地に行かなかったら分からない感覚である。そもそも観光情報に載るレベルの話ではなさそうだ。日本でも火山灰やPM2.5が飛散する地域はあるけれど、私はぬくぬくと関東と東海でしか暮らしたことがなかったので驚いた。


さらにそこから気付いたことがある。その日は長袖のTシャツにジーンズ、その上にアバヤを着ていた。もしアバヤがなかったら、特にジーンズのポケットだの縫い目だのに砂が入り込んでいただろう。砂漠の砂は細かくてさらっさらだとはいえ、服に入り込むのは良い気持ちではない。

アバヤ(女性)やトーブ(男性)のようなローブ状の服であれば、ぶんと振るだけで砂を落とせる。歴史的・文化的背景や着用の是非はともかく、シンプルな服の機能性を実感した。なるべくしてあの形になったのだ。



…今から思うと、ストローに付いた砂を飲んでいたはずなのに、全然気が付かなかった。あとスマートフォンの端子に砂が入らなくてよかった。砂漠地帯は電化製品が壊れやすそうだ。

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