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「質問に質問で返すな」?

「質問に質問で返すな」という主張があるが、私は反対だ。

質問に返す質問のパターン

一口に「質問に質問で返す」といっても、様々なパターンが考えられる。
たとえば、以下のパターンがあるだろう。
ここで挙げた以外のパターンもあるかもしれない。

なお、「規制すべき度」は自分の意見である。

回答の生成に使う情報の要求

規制すべき度:☆☆☆☆☆ 0

A「昨日は何をしていたの?」
B「『昨日』っていうのは、西暦○年△月×日のこと?」

相手の質問に答えるために使いたい情報を相手から引き出すための質問をするパターン。
この場合、たとえば深夜1時頃だったり、相手が時差の関係でまだ前の日付である海外に居たりなどの理由で「昨日」が指す日が曖昧だったため、確定させようとしていると考えられる。

自分の考えでは、これは全く規制されるべきではない。
これが禁止されてしまうと、欲しい情報が無いまま回答することを要求されるので、情報を推測することになり、推測を外して不正確な回答をしてしまう可能性がある。
また、無い情報を場合分けして全部の場合について回答するという選択肢もあるが、回答が長くなる、相手が求めていない回答をわざわざ生成する無駄なコストがかかる、などの問題点がある。

これを規制するというのは、たとえばわざと曖昧な質問をして間違った回答をさせ、それを責めるパワハラ、などの使い方が考えられる。

回答の一部

規制すべき度:☆☆☆☆☆ 0

A「昨日は何をしていたの?」
B「○○っていう施設は知ってる?」

長い回答の一部として質問文を用いるパターン。
この場合、施設○○に行っており、その話をしようとしている。

相手が知っていればしていた内容の話に行き、知らないのであれば施設の紹介から入るとすると、「回答の生成に使う情報の要求」に似ているかもしれない。
しかし、今回の例の「回答の生成に使う情報の要求」では、例えば「昨日」が指すのが1日前であれば施設○○、2日前であれば施設××というように、得られる情報によって根本から回答が変わる可能性がある。
一方、この「回答の一部」の例では、「施設〇〇で△△をした」という回答は既に決まっており、それを表現する対話の一部として質問文を用いている。

カウンター

規制すべき度:★★☆☆☆ 2

A「昨日は何をしていたの?」
B「そういうあなたは、昨日は何をしていたの?」

相手が聞いてきた内容に答えず、そのまま相手に聞き返すパターン。
「質問をするということはそれについて語りたいので、聞き返してやるとよい」という主張がどこかであったような気がする。
この主張に基づき、自分が質問の答えをすぐに生成できないときの時間稼ぎとして用いるという選択肢がある。

しかし、そもそもこの主張が正しいかどうかわからない。
というか、この主張が成り立つかは人によるだろうし、同じ人でも状況や時間の経過によって変わる可能性もある。

とはいえ、この主張が成り立つことが十分な確度で推測できる場合は、前述の時間稼ぎとして有効かもしれない。
なお、そのような方法で時間稼ぎをして、質問の答えを生成できるかも考慮したほうがいいだろう。
相手に質問をすると、相手がそれに答えてしまい、それを聞くことで自分が考えるのに集中できなくなる、ということが考えられる。
時間稼ぎには、素直に「ちょっと待ってね」などと伝える方が有効かもしれない。

クイズ

規制すべき度:★★★★☆ 4

A「昨日は何をしていたの?」
B「何をしてたと思う?」

相手がした質問に対する自分の答えを相手に予想させるパターン。
楽しんでもらえる可能性が全くないとは言えないが、わからないから聞いているのにわかれというのはひどい話である。

とはいえ、少し考えたり調べたりすればわかることが期待されるような内容をすぐ聞いてくる奴には、このパターンで自分で考えさせたほうがいいかもしれない。
ただし、まわりの人は「少し考えたり調べたりすればわかる」と思っても、質問をした本人にとっては非常に難しい内容である可能性もあるため、決めつけには注意するべきである。

関係ないことを返す

規制すべき度:★★★★★ 5

A「昨日は何をしていたの?」
B「あなたの好きな食べ物は何?」

相手がした質問に全く関係ない質問をするパターン。
これは「質問に質問で返す」ことが問題というより、「相手の発言を無視して関係ない発言をする」ことが問題である。

ただし、一見関係ない質問に思えても、質問に質問で返した側にとっては回答の生成に使う情報の要求かもしれないので、決めつけには注意するべきである。
「それは今関係ないでしょ」のように決めつけず、「それ今関係ある?」のように確認するといいだろう。
(これも「回答の生成に使う情報の要求」の一種であると考えることができる)

質問に質問で返すことが認められない場面の例

たとえば、Stack Overflow の新規ユーザーは、同サイトにおいて「回答の生成に使う情報の要求」を含め質問に質問で返すことは認められない。

新規ユーザーは質問に対するanswerを書くことはできるが、answerは質問の答えを書く場所であり、コメントで書くべき質問を書くことは認められない。

Why and how are some answers deleted? - Help Center - Stack Overflow

また、コメントであれば質問を書くことができれが、他の人の質問に対してコメントをするにはreputationが50以上である必要がある。

Privileges - Comment everywhere - Stack Overflow

とはいえ、Stack Overflow では、回答の生成に使う情報を要求したくなるような質問は単に無視すればいいので、あまり大きな問題ではないだろう。

結論

質問に質問で返すことをすべて規制してしまうと、パワハラに繋がるなどの害が生じると考えられる。

規制を行う場合は、規制しないことの害と規制することの害をそれぞれ考えて規制の内容を決め、余計な規制をしてしまわないように注意するのがいいだろう。

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