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2日目 RYUTist SEASON3 LAST TOUR「会いにいきます」新潟公演

聖地か喫茶店か

僕は迷っていた。
前日の夜ヒヤマさんと別れる際に、明日は予定がないから僕の聖地巡りにご一緒したい、とお話をいただいていた。
ホテルに帰ってスマホを見ると、ちょうど同じタイミングで大阪ライブの時から仲良くさせていただいている たっちーさんから、宇野友恵さんが紹介している喫茶店にいかないか?とメッセージが来ていたのに気づいた。

RYUTistのメンバーの友恵さんは、instagramで新潟市を中心に100を超える飲食店を「趣味で」紹介してくれている。一言コメントと写真がとてもお上手で、どれも行きたくなるお店ばかりだ。

聖地巡りは今回の目的の一つでもある。でも友恵さんの喫茶店にも行きたい。どちらを選べばいいのか悩んだが答えは出ず、時間だけが過ぎていく。思い切ってLINEを交換していたヒヤマさんにお電話してみた。

「喫茶店行ってから聖地に行けばいいんじゃないですかねー?」なるほど。たっちーさんにもご連絡しご快諾してもらえた。新潟駅前でお二人と合流しBlueCafeへ向かった。

人気の喫茶店で

僕はあまり喫茶店に行くことがない。喫茶店は飲食だけでなく場所や外観も含まれていると思っていて、後者に対してあまり価値を見出す事が出来なかったからだ。でも今回は違う。場所にはちゃんと(自分なりの)価値があり、全員その価値をわかっている。

外階段から2Fのお店に入るとお客は私たちだけだった。
見晴らしのいい席に案内され、美味しいコーヒーやモーニングをいただきながら談笑した。見渡すと木のぬくもりがある店内に本が沢山置いてありとても雰囲気がいい。友恵さんはゆっくり本を読まれていたようだ。

分かりづらい場所なので、失礼ながらあまり知られていないのかな?と思っていたが、後で調べると人気店のようで、最も空いていたタイミング(日曜朝オープン直後)だったためらしい。ほどなくお客さんが何組か来られて、僕たちは喫茶店を後にした。

みんなで聖地巡礼へ

今日のスケジュールを逆算すると徒歩での移動は厳しいと分かったので、RYUTistメンバーの横山実郁さんがトレードマークになっている自転車を借りることにした。
スマホアプリから鍵の施錠&開錠や精算までできる電動のレンタサイクルで、あちこちに(にいがた2kmゾーンのみだが)ステーションがあり、好きな場所で借りて好きな場所に返せるのだ。以前大阪でも同じシステムのものを利用していたので、戸惑いなく借りて聖地みなとぴあへ向かった。

途中にミュージックビデオ「青空シグナル」で登場する場所を通りながら「センシティブサイン」で夢羽さんの第二のシーンとなる みなとぴあ内の旧新潟税関石庫へ向かった。
お二人は聖地巡礼にあまり興味がなかったようだが、楽しんでくれていたように思う。
みんなでヒヤマさんのスマホを覗き込んで「夢羽さんが居たのはここの柱だと思いますよ。ほら、ここにもたれ掛かって!」と指示されて写真を撮られたりした。

旧新潟税関石庫

そのとき急に懐かしい気持ちを思い出した。幼い子供の頃にみんなでわいわい言いながら一つの事に夢中になっていた気持ちだ。
大人になるにつれて趣味や考え方に違いが出てきたからか、もう数十年はそういう一体感を感じる事が無かった。

「同じ事に対してみんなで語り合って盛り上がれる事が嬉しいんですよ。」以前RYUTistの話をしていた時にたっちーさんが言われていた。これなのか。目頭が熱くなった。

新潟テルサへ

いよいよ最大のイベントである、新潟テルサでのライブの時間が迫ってきた。まずはヒヤマさんが車を停めている古町へ自転車で向かった。
車を停めた場所がはっきりと分からないようで、どこそこのあたりなんだけど…と言うと、たっちーさんがこっちですよ、と指示してくれる。何度も新潟に来ているからか土地勘が凄い。程なく車にたどり着いた。

元々テルサへはバスで行くつもりだったが、昨晩の話で1人くらいなら乗せていけます、とヒヤマさんが言ってくれていた。車に着いてみると荷物が沢山載っているのでもしかすると2人は無理かもしれないです、との事だった。それを聞いた たっちーさんが気を遣って「僕はバスで行くからいいですよ」と言った。

僕は泣きそうになった。そりゃないよ朝から楽しく一緒に居たのに。メインイベントの直前でお別れするのがとても悲しかった。
「なんでそんな事言うん?詰めたら絶対乗れるって。狭くたっていいから一緒に行こうよ!」

今考えるとそれを言う資格があるのは車の持ち主だけだ。でも朝から3人で笑って過ごしてきた。だから3人で笑いながら行きたかった。
「なんとか2人乗れそうですよ」ヒヤマさんがあちこち荷物を移動させて場所を作ってくれた。僕の我儘で迷惑を掛けてしまったかもしれない。

車はテルサに向けて走り出した。車内の音楽はもちろんRYUTistだ。途中にメンバーの実郁さんがCMをしている自動車店 ”ケイバッカ” を見つけて、ああ僕は本当に新潟にいるんだと胸が熱くなった。

ケイバッカ

二人の乃々子さん

テルサは物販前という事もあり多くの人が集まっていた。以前ご挨拶した方にお会いしたり、新しい方をご紹介いただいたりした。
RYUTistの話をするのはとても楽しい。物販で何買おうと思ってるか聞くだけで楽しくて仕方がないのだ。普段は無口な陰キャなのにRYUTistの事となるとついエンジンがかかってしまう。

物販が始まり、ランダムのロコ岩(友恵さんが作ったキーホルダー)と乃々子さんのクリアファイルを買った。ロコ岩はなんと乃々子さんが2つ出た。嬉しい!1つはキリヤマさんのものと交換した。
ここで たっちーさんは、ライブに誘った新潟のご友人と行動されるとの事で一旦お別れ。ライブの時間には戻ってくるし、帰りの飛行機は一緒だったので少なくともそこで会える。ここからはヒヤマさんと2人行動だ。

ロコ岩

カナールにて

近くのコンビニに行くと、リッキーさんとご友人が居られて(前を通ったが渋滞で行くのを諦めた)カナール はここから歩いて行ける距離だよ、と教えてくれた。
カナールとは一言でいうと公園の中を流れている水路だ。そこに架かる橋の中心が舞台のように広がっていて、その中心のところでコロナのために無観客となってしまったライブ「ファルセットよ響け」が催された。だからいつかひと目見たいと思っていた。

カナール

教えてもらった通りに数分でカナールについた。ただ残念なことに、水質調査で水は抜かれ、橋も立ち入り禁止になっており、離れた場所から写真を撮ることしかできなかった。
それでも僕は嬉しくて色んな角度から写真を撮っていた。ふと見るとヒヤマさんは段に腰かけて遠くを眺めていた。まるで親と子供みたいだ、と思った。年齢は逆だけど。

ヒヤマさんとは色々なお話をした。本職は僕と同じIT系との事で盛り上がる。そのうちにリアルな先立つ物のお話になった。
僕もヒヤマさんも新潟からはとても遠い所に住んでおり、行き来するだけでそれなりに掛かってしまう。今回二人とも相当に無理をしている。
「今後どうしていけばいいんですかね」そう聞かれたが僕自身も分からない。世間にもっとRYUTistを知ってもらいたいし、その為に貢献もしたい。

「今回は特別だけどできる範囲でやるべきだと思う。今よりも貯金が減っていくのは絶対に駄目だ。無理はしちゃいけない」こんな事を言ったと思う。それは自分に対しての戒めの言葉でもあった。

お花で埋め尽くそう

テルサに戻ってくると、入口には「乃々子さんが大好きなお花で埋め尽くそう」と題した物販でファンが贈ったフラワーポットが飾ってあった。
1日目にお会いした かずぽんさん、ヒヤマさん、たっちーさんもご協力されたそうで、なんと たっちーさんは2口も購入されたそうだ。
フラワーポットは多くても20個くらいかと思ったら、50個以上は並んでいたように思う。文字通り端から端まで埋め尽くされていた。

向かい側にはお祝いのときに飾られるいわゆる「お花」が置かれていた。アーティストの方、協力会社の方、個人的に応援してくれているショップの方、そしてひときわ大きいRYUTistファン有志のお花もあった。
昨日 かき忠さんでお会いした ひろさんが取りまとめてくださったものだ。私も少しだけ協力させてもらったが、とっても誇らしくて嬉しかった。

テルサの夕焼け

ヒヤマさんは、前日からずっと探していたRYUTistのラジオ番組「東港線もどかしルーム」のディレクターさんを見つけてお話しされていた。僕は一足さきに自分の席に向かった。
座ろうとして前の席を見て驚いた。たっちーさんだ!ほどなく私の横一つあけた隣にヒヤマさんが座る。また偶然3人揃った。どうなってんの?

ライブが始まった。とても素敵だった。
僕は周りの人ほど泣くことはなかった。事実を受け止めるにはショックが大きいので頭が拒否しているのだろう。
大好きだった祖母が旅立った時もそうだった。そのあと何か月もの間、ふとした時に悲しみが襲ってきた。今回もきっとそうなんだ。

だからなのか、乃々子さんとは次の東京のライブでも会えるような気がしていた。そんな訳ないのに。
ライブが終わってから見た空は、今まで見た事のない幻想的な夕焼けだった。

幸運の女神

ヒヤマさんの車に乗せて頂いて新潟駅に着いた。ちょうどそのとき別行動していたたっちーさんから、友人と別れたので夕食をご一緒しないかとメッセージを貰った。
二つ返事でOKし友恵さんがinstagramで紹介されていた ブロンコに集合し、ハンバーグを食べながらライブの話で盛り上がった。閉店時間となったがまだ話し足りず、ファミレスに移動して23時まで話し込んだ。

ブロンコ

帰り際に明日一人で聖地へ向かうと告げた。
彼らのおかげで本当に楽しい2日間を過ごせた。感謝してもしきれない。
「また会いましょう、お元気で!」再開を誓って別れた。

とぼとぼと駅から遠く離れたホテルへ向かう。寄ろうと思っていたコンビニが今日の夜から工事 との事で閉まっていた。こんな事あるんだ。
ずっと遠回りして別の店に行きビールとおつまみを買おうとしたが、前に並んでいたお客さんが籠いっぱいの商品を購入してかなり待たされた。

なんにも良いことが無い。幸運の女神はもう帰っちゃったんだ。

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