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『烏の緑羽』感想


阿部智里さんの最新刊、『烏の緑羽』八咫烏シリーズ第2部3作目。

今回は長束さまサイドのお話。
長束さまと路近の話をしていくのかと思いきやまさかの路近と翠寛の話だった。緑羽って翠寛のことか。
初っ端の一行目「首が飛んだ。」から始まるとは今作もメンタルズタボロにされそうな予感…!と思ったが近年の追憶や楽園に比べたら全然平和な作品でした。長束さまと路近はどっちも赤ちゃんだったっていうことですね。初めてのおつかい可愛い。

今回はすごく哲学的だなって思った。
「忠誠とは何なのか」
「力によって制する者は、より大きな力によって制される」など、どうあるべきかというのが何度も出てきた。難しいなと思いながらもスラスラ読めていくのだから作者様の文章は読みやすい。

雪哉は「やらねばならない」から犠牲が出ようともそれが最善と思うならやった。
翠寛は「やって堪るか」という意思があるから犠牲を出さずに済む方法を探そうとした。
今まで雪哉サイドとして読み進めてきたから、空棺では翠寛のことあまり好きじゃなかったんだけど、翠寛めっちゃいい人。強い矜恃を持ってる。


魅力的なキャラたくさんありすぎ。1つのキャラに肩入れしてしまうと序盤は良くても進んでくうちに全然良くなかったりする。なんなら死んだりする。いつ突き落とされてしまうか分からない。けど、それがまたおもしろい。楽園では見事に突き落とされた。雪哉の少年時代を見てしまっているから間違ってるのに思い入れがありすぎて雪哉を嫌いになれない。

ラストは追憶の時間軸になった。
これは次作、紫苑の宮目線かな?
楽園の最後の言葉、楽園の終盤に茂丸に対しても言ってた言葉だから…紫苑の宮まさか…。
時系列戻っていって最終着地点が楽園とか言わないよね?地獄のここが楽園だとかで終わんないよね?
でも幽霊の件があるからそれが最後かな?
第2部で八咫烏シリーズは終了だからだんだんと終わりが近づいてきているのか思うと嬉しいような寂しいような。
とりあえず山内に平和をくれ。


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