とおい、とおい、隙間に


とおい、とおい、海の匂いに包まれ

白樺の隙間に息を吐き
山はシルクの布をまとう
あおの、みどりの、しろの、
太陽に濡れる沈黙の朝がきた

とおい、とおい、昔が浮き出して

岩の隙間に欲が滑り込み
ここまでやってきた
鳥と、熊と、鹿と、
生命の国へ一歩進んで

とおい、とおい、土の中に埋もれた

誰かの骨の隙間に落ちる種が
新たな物語を繰り返す
音楽も、美術も、文学も、
死者の影を追っている

いつでも、どこでも
それをもぎ取って
それを与えて
もうずっと前から
輪廻にいることを
知っているような気がした

陽が差し込む窓を開けて
白いヴェールに隠された
街の隙間に
新しい空気が満ちてゆく
あの日と変わらない
声がして私は答えた
とおい、とおい、未来まで

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