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とおい、とおい、海の匂いに包まれ 白樺の隙間に息を吐き 山はシルクの布をまとう あおの、み…
真っ直ぐな目を失ったのは もうずいぶん前になる 時計の針も文字も月もおぼろげで …
人生は本だと思うことがある 厚みがある人生だと賞賛されることも 薄っぺらい人生だと貶される…
おばあちゃんが言った 「隣の家のおじいさんが死んだ時、火の玉が煙突から出て雲の中に消…
私は色々なものをかく 絵を描く 文章を書く そして、頭を掻く 途中まで傑作だと思…
春は甘い 若々しい空気が私を包み 採れたての芋臭さが食欲をそそる 夏は辛い 人も…
雪が降った いよいよ冬本番だ でも、どうしてだろう 頭の中に浮かぶのは あの嫌いな季節、夏だ 夏といえば暑い? 暑いってなんだっけ 忘れちゃった 夏といえば何色? どんな色だったっけ 忘れちゃった 夏といえば鰻? どんな味がしたんだっけ 忘れちゃった 夏は どんな匂いがしたんだっけ 忘れちゃった あれ、夏ってなんだっけ 知識だけの夏の光景 古いフィルムみたいに 段々とノイズが走って壊れてゆく 白黒映画に映る俳優を調べた
解凍しないで 嫌な記憶ばかりだから 見たくないの 折角、凍結させたのに わざわざ引…
カーテンに光が揺れる 机の上には自販機で買った炭酸飲料 炭酸の音は雑談の中に消えてい…
レモンを切って お湯を沸かして 茶葉をティーポットに入れて そんな日に思い出す あたたかな…
知らない虫が鳴いている デネブはどこだろう 夏休みに作った星座早見盤は 随分前にぐ…
たぶん、世界は白いキャンバスだった そこに絵の具を塗ったら朝が来て 朝日がビビッドな…
この道を通ったような気がする ちょっと前と似ている風景 迷ってしまったみたい まぁ…
風速0メートル 掛け布団の波は穏やか 愛用の枕はメンテナンス済み 今日はいい日和だ 何年も一緒に旅を続けているぬいぐるみを小脇に抱えたなら よだれまみれのパジャマを着て 夜の海へ出航しよう 月明かりに照らされて 白うさぎの波が跳ねる ベットが軋んだって 方位磁石は未来を指している 希望があるから怖くない 人間は空っぽだから、夢を詰め込める って誰が言ったんだっけ 私?あなた? そんなたわいのない話 一人じゃないから怖くない 夜は嫌な