短編小説「存在しない犯行現場」
何度か死んでみて
わかったことなんだけれども
どうやら死にも種類がある。
肉体の死
精神の死
魂の死
世界の死
病死。他殺。事故死。自然死。安楽死。無理心中。孤独死。
自殺。
自殺はつまり、精神が肉体を凌駕した。そうは考えられないだろうか?反対に、病死は肉体が精神に打ち勝った。我慢比べだ。時間切れ?そうそう、実際には引き分けだ。そして、独り勝ちであり、1人負け。
君は聡明だね。
そしてこんな益体無い話に耳を傾けてくれる
優しいんだね。
さて、続きの話をしよう。
勝者不在の物語。
君ならどう落ち着けてくれるのかな?
…
ふむ。
なるほど。
え~そっか。興奮してきた。
ひどい人だなぁ。
君、モテるでしょ
揺らぎのある真理を掴むには、
真理に好かれるのが一番なんだって。
趣味は鍵開け?それで口説きはお仕事?ふーん。
落ちる音がした。
耐え難く、余りある甘味。
彼が多分死神なんだろう。
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