雑誌投稿:保身も感謝も、以心伝心。
保身も感謝も、以心伝心。
元スターバックスコーヒージャパンCEOとして、業績を上げた実績を持ち、リーダーシップに関する書籍も多数出版している岩田松雄氏に、「リーダーの魅力」について聞いた。
(いわた・まつお)1958年生まれ。(株)リーダーシップコンサルティング代表。株式会社インフォレスト(ザ・ボディショップ)の代表取締役社長として、売り上げを67億円から、約140億円に拡大させる。元スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高責任者 著書に『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』(アスコム)など多数。
(ここからインタビュー原稿)
リーダーとして魅力があるかないかというのは、一言で言えば、「私心があるか否か」に尽きます。自己保身とか私欲が見えた瞬間に、部下はついていきたいと思わないでしょうね。
魅力的な人と言えば、野球選手の長嶋茂雄さんを思い浮かべます。長嶋さんは派手なオーバーアクションで、ヘルメットが脱げ落ちるぐらいバットを思いっきり振ったり、わざわざ横飛びして、泥だらけになって球を受けたりしてファンを楽しましていました。
きっと、ファンの人に喜んでもらいたいっていう気持ちが強くあったんだと思うんですね。それが伝わっていた。だから、ファンが多いんだと思います。
◎社長時代の困ったジレンマとは?
例えば、社長は社員のボーナス額を決める立場にいます。通常社長のボーナスは、会社の利益に連動しています。そこで皆のボーナスを増やすと、会社の利益が下がる。すると、自分のボーナスも下がってしまいます。
だから、決めにくくってしょうがないんですよ。周りから「『社長は自分が多く貰いたいから、社員のボーナスを下げた』って思われるんじゃないか」と、ぐるぐる考えてしまう。
そんな時には、社長という立場を一度離れて、幽体離脱をするような気持ちで考えて、「今会社の状況を見て、適正な金額がどれくらいか」って。そうすると、「この判断の中には、私心は一切入ってない」と思えると、自信を持って意思決定が下せるのです。リーダーはいかに私心をなくすかがとても重要です。
また、リーダーは誰に対しても気さくに接することが大切だと思います。私も受付の女性や、お掃除のおばさんにも「ありがとう」という言葉を、よくかけるようにしていました。ザ・ボディショップの社長をしている時も、「店長さんの顔と名前を覚えたい」と思って、全店の店長さんの写真を、社長室に貼っていました。
1カ月もしたら名前を顔が一致するようになったのですが、逆に自分が落ちこんでいる時、皆の笑顔の写真を見て、「この人たちが今お店で頑張ってくれているんだ。自分もこの人たちのために頑張らないといけない」と元気が湧いてくるんです。皆のために頑張りたいという使命感が原動力になっていました。
◎ミッションという魅力
企業にしても、個人にしても、「世の中を良くしたい」というミッションを実行しようとしていると、とても魅力的に見えるのだと思います。
ミッションを愚直に実行しようとしている企業は、「売り上げ」や「利益」のみを追っている企業に比べ、社員は自分の会社に強い誇りと自信を持てるようになっていきます。
例えばスターバックスであれば、「人々の心を豊かで活力あるものにする」というミッションがお店のパートナー一人一人が真剣に考えてくれているから、あんな素晴らしい接客ができるのです。
私は一人一人の人生においてもミッション持つべきだと思っています。私は、自分が今こうやって生きていることが奇跡のように感じています。病気や怪我をもちろんしてきましたが、震災や事故に合わずこうして生きている。「サムシング・グレート」というか、何か見えない大きな力に生かされていると感じています。
生かされているってことは、何かその理由があるわけですね。私は、その理由こそが人生のミッションだと思うんです。
ミッションを大切にする人や企業はいつも相手を魅了する「ブランド」になって行くのだと思います。
#取材 #雑誌投稿 #岩田松雄 #リーダーシップ #ミッション #スターバックス
ありがとうございます。今後も素晴らしい日本にしていくために、リーダー育成にがんばっていきます。