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[大学]院卒が量子論,量子力学,量子コンピュータの領域を分けてみたよ。

noteの住民は高学歴な感じがあるけれど、本をピックアップする際の選定基準がどうも甘い。その目的が見えてこない。

noteで「量子力学を勉強しています、もしくは、勉強しはじめました、本はコレコレ使っています」、そして、

のようにアマゾンウィジェットを貼り付けている、なんの思考もない記事をいくつか拝見しました。

量子論、量子力学、量子コンピュータ、それぞれに棲み分けがあります。それは、明確にとはいえないけれど、量子力学を専門に学んだ人にはだいたい領域の区切りがあります。そして、量子力学を学んでいく際に、目的に合わせて領域を限定し、目的にあった書籍を選ぶものです。

さて、前置きはこれまでにしておきます。
領域はこのように分かれています。細々とツッコミどころがあるのは承知しています。あと、以後、量子コンピュータは量子情報と書かせてください。

上段には、それぞれの領域で使用する数理的手法を記載しています。ただし、関数解析にはフーリエ解析が含まれますが、その前提を知らない人が多いと思われるため、フーリエ解析/関数解析と並べて記載しています。

下段が、「量子●●」の棲み分けについての補足です。

  • 量子力学は、一番広い領域であり、量子情報も含みます。

    • 一番広くした理由は、量子情報にはスピン系・測定を含むからです。

  • 量子情報は、数理的にはメインを線形代数とし、一部で関数解析も含みます。細かく言えば、この線引は明確ではありません。

    • 「一般的な物理学科の量子力学」に量子情報が含まれない理由は、物理学の専門課程であれば、「量子情報」を1つの独立した分野として扱うケースが多いためです。

  • 量子論は、数理③を含まない、線形代数と関数解析で表現されるものとしています。ただ、量子論≒量子力学とすることもあります。

noteの記事では、量子力学といえば暗黙的に「一般的な物理学科の量子力学」を指しているパターンが多いように思えます。一番広く、「なんでも」含まれています。

しかし、量子情報、また独学として量子論を学びたい場合、その「一般的な物理学科の量子力学」は広すぎます。というのも数理面での基礎知識に、数理③「偏微分方程式と特殊関数」、加えて数理②「関数解析」を若干、これらを学ばなければなりません。高度な微積分知識を必要とする③「偏微分方程式と特殊関数」はかなり重いです。

たとえば、情報学科の学生に③「偏微分方程式と特殊関数」ありの量子力学を提供するのは、間違っているような気がします。「最もコンパクトにした
量子情報」+はみ出た領域 でいいのではないでしょうか。

独学として量子論を学びたいのであれば、1周目は「最もコンパクトにした
量子情報」でも十分です。
この考えは、一部では浸透しており、将来的にこの趣旨のテキストが多く出てくるはずです。(いまでもあります。)

ということで、量子●●のそれぞれの専有領域が判明すると、それに合わせてのテキストも選定できます。次回は、この図とそれぞれの領域にあった、本をピックアップしようと予定しています。この記事に書くかもしれません。

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