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映画:バウンティ号の叛乱(2012年のブログより再録)

映画「バウンティ号の叛乱」は、劇場版だけでも少なくとも三度制作されている。主人公フレッチャー・クリスチャンを演じた俳優名で言うと、
クラーク・ゲーブル版(1935)
マーロン・ブランド版(1962)
メル・ギブソン版(1984)

この三つを見比べてみた。(2011年にテレビ版もあるそうだが、それは見ていない。)

(ネタバレ注意) 1787年、英国軍艦のバウンティ号のタヒチへの長い航海の帰路、過酷な艦長に対して叛乱が起こり、艦長が船を追われて小舟を与えられ、船長は小舟で行けるところへ辿り着いてから英国に帰り軍事法廷で勝ち、その間、主人公率いる叛乱隊はバウンティ号に乗ってタヒチに戻る。主人公らのその後は不明である。そこまでは史実らしく、三つのバージョンで共通しているが、その後主人公がどうなったのかについては三者で三様の解釈(想像)がされており、その伏線としてタヒチに至るまでの航海中やタヒチ島で起きる出来事も相当に三者三様の描かれ方だ。
 私の好みで言えば、演技・脚本・カメラ、どれをとっても62年のマイルストン監督、マーロン・ブランド主演版がずば抜けていると思う。唯一他の二作に比べて62年版で首をかしげる点があるとすればタヒチの族長がミスキャストに思えることくらいか。叛乱に至る過程での主人公の描かれ方は、クラーク・ゲーブル版では、航海自体が冒険で、その勢いというか延長線上で叛乱も起こしてしまったように映るし、メル・ギブソンは例によって一時の激情で叛乱に至ったかのような演技だ。しかしマーロン・ブランドは出港のときには叛乱など起こしそうにない享楽的で冷笑的な士官であったのが、徐々に変わっていき、叛乱の前にもたっぷり逡巡があり、叛乱を起こして船長になってからもさらに変貌していき、やがてそれが運命を左右する。その意味ではストーリーはブランド版が一番重いが、重苦しいわけではなくエンタメ要素も充分ある。
 なお、まだ知らない人が多いようだが、DVDと違ってBlu-rayディスクについては日本と米国は同じリージョンAなので、米国のBlu-rayディスクはそのまま日本のBlu-rayプレーヤーで視聴できるので日本でも普通に販売され始めている。このディスクを含め、米国版の多くの映画ディスクには英語字幕もある。

Mutiny on the Bounty (1962) (アマゾン)

(以上,2012年2月24日のブログから)

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