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クリスマスは関係なく、高齢者の転倒事故について、そして企業の経営姿勢

ニュース解説で高齢者の転倒事故の多さを伝えていました。
私はこれを聴いた瞬間にゼネコンでの営業マンをやっていた頃を思い出していました。
1997年に介護保険法が制定され、世の中が高齢者介護に関わるビジネスに動き始めた早い時期に、営業先の大阪の住宅機器、建材も扱う電機メーカーが高齢者介護事業に乗り出しました。
大阪門真に出来た第一号施設を見学に行った時に担当の方から、当時先駆けのバリアフリーの難しさをお聞きしました。

フラットな床で転倒事故があったのです。
高さは同じであっても、床面の滑り具合がその表面によって違ったがための事故でした。
温かみを感じさせる木彫のビニールカーペットが、ある境から絨毯のカーペットに変わっていたのです。
お年寄りに多い『すり足』が摩擦度の高い絨毯に移る際に突っかかってしまったのです。

決してあってはならぬ事故、しかしそれを隠さずに話すのはその会社の姿勢でした。
この会社は介護事業そのものにも乗り出し、新しい会社を立ち上げました。
自社の製品を売るための実験場という考えもあるでしょうが、儲からぬ介護事業そのものに乗り出したのは、やはり会社の思想でしょう。
『会社は公器』という考えがもとにあり、それは社会の困りごとを解決するのは企業だ、という考え方にもなるのでしょう。

このご時世、儲からぬ事にいい顔をしない株主は少なくないかも知れません。
しかし、株主はただ自身の持ち株の差益のみを考えていては本当の株主とは言えません。
このことは会社のイメージを上げ、それこそ世の中の持続可能性を高めているのです。
そういう会社の株主であるというステータスを感じるべきでしょう。
そして、未来を信じなければなりません。
多くの上場企業には最初から介護事業にはかかわらないと公言しているところもあります。

企業は本業で儲けることが一番のミッションかも知れませんが、プラスアルファがなければ魅力に欠けるように思いますし、会社の発展も無いでしょう。
世のすべての人間がお客さまであるならば、時代の流れとともに考えなければならぬことが本業に関連して出てくるはずです。
それが出来ない会社はこの先、日本の人口減少とともに先細っていくことが目に見えています。


本当は高齢者の『すり足』から合気道、武道の『すり足』について考えることがあったのですが、脱線です。
合気道の『すり足』はまたの機会にします。

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