見出し画像

37年前の写真

1985年、大学を卒業して社会人となった。

バブルの始まるいい時期であった。

入ったゼネコンでは英語の研修を受けさせられた。

大阪に赴任するまでの4カ月間だったと思う。

朝から晩まで英語漬け、帰っても課題が待っていた。

こんな事をさせてもらって給料をもらっていいのかと不思議だった。

その頃は社員教育にも潤沢に金をかけれる優良な会社だったのである。

そこでアメリカ人の講師が描いてくれた私の似顔絵である。

まだ卒業したての私はスリムだったかも知れない。

英語漬けから解放されて、最初の赴任地は京都であった。

英語漬けから酒漬けに変わり、半年で10キロほど体重が増えた。

京都で合気道の稽古を始めた。

しかし、京都の合気道には馴染めなかった。

社会人になってからめったに喧嘩などしないのだが喧嘩して半年ほどでやめてしまった。

それからしばらくは仕事と酒とで合気道の事は忘れていた。

そんな時代もあったんだとこの似顔絵の写真を見て思い出す。

誰もがスマートホンを持つこの時代とは違い、当時を残すのは記憶と写真だった。

アルバムも持っているのだが、時々本の間からパラりと写真が出てくる。

意図したわけではないが、もらった写真を大切に持ち帰ろうと本に挟んで忘れてしまっている。

それが時々、予期せぬタイミングで出てくるのだ。

この似顔絵の写真もそうであった。

そして何故か同じ本から出て来たのはこの写真、この似顔絵の一年くらい前の写真である。

学生をしていた。

他大学の合気道部の連中と我らが合気道部の仲間である。

似顔絵と比べると一年でなんとなく社会人らしくなっているような気がするのは私だけだろうか。

たぶんデジタルの写真では残ることのなかった二枚だと思う。

断捨離出来ぬ本の間に挟まっていた二枚だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?