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闇から湧く猫

猫はそぞろに夜を歩き、月は黙ってついて行く。
月はいつでも知っている、猫のいつもの気ままさを。
猫の気ままは母さんも、父さん、婆さん、爺さんも
一族郎党どの猫も持って生まれたものなのさ。

持って生まれたその意志を貫く男は猫なのか。
のらりくらりとその時を過ごす男が猫なのか。
気ままの意味は幅広く、気ままに生きるは楽じゃない。
気ままに生きるその陰に強い意志を控え置く。

猫に生きるも楽じゃない。
人に生きるも楽じゃない。

猫が生きるは生きるため。
人が生きるは生きるため。

猫は今夜も唱えつつ私の眼下から消えていった。
そして、残していく言葉はいつも同じである。

猫に生きるも楽じゃない。
人に生きるも楽じゃない。

猫が生きるは生きるため。
人が生きるは生きるため。

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