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朝のスパゲティ

最近朝からパスタを茹でることが多い。昼を抜いても朝メシを抜くことは無い。腹が減るから健康なんだろうと思う。

この歳になると周りからカラダの話をよく聞かされる。昨日たまたま電話した先輩から「今入院している」と告げられた。心筋梗塞で倒れ、手術を終えICUから一般病室に移ったところだという。ヘビースモーカーの先輩に「そろそろやめた方がいいですね」なんて話をしたばかりだった。運よく奥さんのいる場所で倒れたからすぐに救急搬送されて、現在に至った。一歩外に出た後ではどうだったか分からなかったと。特に移動はいつも車だ。本当に分からなかったところである。健康優良児がそのまま大人になったような病気知らずだった先輩だが、ずいぶん無理をされていた、これくらいで済んでよかったのだろう。この先の摂生しながらの生き方を考えるとまさに『怪我の功名』と考えてもよいのかも知れない。

もう二十年以上も前のこと、仕事を受注するためにいろんな世界の方と付き合っていた。定石の無い営業のなかで自分なりの戦略を組み立てるのである。もちろん法を犯すようなことはしない。知恵を絞っての、わりと何でもありのような営業をやっていた頃の話である。

関西のある都市の役所の方と付き合いをしていた。ちょうど選挙時期であった。立場のあるその方は違法にならないすれすれのラインで特定の候補者の応援を行っていた。そして、それに尾ひれをつけてチクる人間がいた。取り調べまで受けさせられ、尾行までついた。それから選挙が終わるまでその方はその都市のある病院に入院した。そこに入ると取り調べを行う側の人間は一切近づけないのである。反社会勢力の人間たちが現世としばらく縁を切る際に家族としばしの別れを惜しむ時にも使われる病院だった。そんな病院が存在すること自体まだ純な私に驚きだったのであるが、そこの事務長に会ってまた驚いた。

病院の建替え計画があり、その役所の方に紹介してもらい事務長に会った。そこで出て来た話は建て替え計画の話ばかりか、その都市以外での大きな建設計画がいくつも出てきた。そして、受注した後の話が付いてくる。ブローカーの話と同じであった。本業の業界の部分的な取り仕切りもしており、それまでに出会ったどの病院の事務長ともタイプの違う方だった。とてもその時の私が付き合える相手ではなく、役所の方を通して丁重に断り、付き合いはしなかった。

1+1が2にならないのが世の中で、黒いカラスを見ても「白い」と言わなきゃならない世界があることも分かっている。
何から何まで真っ暗闇よ、筋の通らぬことばかり、右を向いても左を見ても馬鹿と阿呆の絡み合い、どこに男の夢があるのであろう。

なんだか世の中は混沌としている。
でも、これが私の求めるカオスではない。

朝のカボチャスパゲティはなんだか塩辛かった。

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