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みわくの中華料理 その1

子どもの頃から途切れることなく中華料理が好きである。
食べるばかりでなく、作ることも好きである。
大学への進学はせずに台湾に料理の修行に行かせてくれと、母ハルヱと台湾の母である黄絢絢を困らせて半月の間、台北の黄家に預けられたこともある。

私には魅惑の中華料理であるのだ。
とてつもなく広大な土地で生まれた中華料理、三千年の歴史の中華料理、そこにはありとあらゆるものがあり、それらを食べつくした人はいないだろう。

そんな中、気になる料理がいくつかある。

まずは、熊の手。
食べたことは無い、食べたいとも思ったことは無いのだが、大学時代一年間、大学の近くで合気道部の稽古に支障のない環七と千川通の交差点あたりにあった『墨国』という中華料理店の名前らしからぬ高級中国料理店で皿洗いをしていた時に熊の手が話題に出た。

長く中華料理の世界を渡り歩いてきた料理人の話によると、『美味い』そうである。
上手く煮込めば、という条件が付いていたが、、
食材として非常に高価で、しかも左手より右手が高いという。
説明によると熊は右利きだそうである。
その右手でいつも蜂の巣を叩き壊して中の蜜をなめているそうである。
それで蜂蜜の浸み込んだ右手が高価だということであった。

でも、帰り道に思ったのである。
左利きの熊がいてもおかしくはないのでは、と。
はずれの熊の手に当たる運の悪い人間もいるんだろうな、とも。

そして、もう一つ思ったのは、どんくさい熊もいてもおかしくはない。
捕獲される前に二足歩行の途中こけてしまい、とっさに突き出した利き手である右手の先に仲間の、もしくは自身の排泄物があってまともに全体重をのせてしまうことだってあるかも知れない。

それを買った人はもっと運の悪い人間ということか、はてまたウンの付いた人間なのか。
とりあえず興味はあるが食べてみたくはない熊の手であった。

子どもの頃からこんなくだらないことを考えて時間を使ってしまうのが得意であった。
話はもう少し続くので明日に回したいと思う。
是非、明日またお付き合い願いたい。

私はそんな高級中華より、街の中華屋でキンキンに冷えたビールとともに食べる餃子やニラレバがいい。
中華料理に関する興味は尽きないが、楽しく食べるには街の中華屋に尽きる。

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