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人の力でできること

部屋の片付けで出てきた写真です。
この写真が何だか分かりますか?
もう25年も前のこと、当時勤めていた建設会社での出張の途中です。

北摂のある学校の資料館を築き上げるために瀬戸内海の小島から外壁用の石を切り出した際の写真です。
長さは17m重さは300tありました。
発注者の熱い思いと、その時の上司の強い意志で幾多の困難を乗り越えてその資料館は四年後に完成します。
安土城を模して造られた資料館のこの外壁の石は一枚岩としては大坂城にある蛸石よりも大きなものです。

切り出しから大阪南港への海上輸送、加工そして現地までの陸上運搬と、建設関係者でも想像もつかない事、ここで口には出せない事もありました。
その全てをクリアして施工、完成に至ります。
すべては多くの人たちの力があって出来たことです。
夢を実現させるってのはこんなことなんだと思います。
大きな夢があって、その夢を理解し、共感できる優秀なコンダクターがいて一つずつ積み上げていく。
現場監督が工事全体のコンダクターであり、営業はその事業全体のコンダクターです。
コンダクターには頭脳も忍耐力も体力も必要です。

でも一番大切なのは自分の力を知ることだと思います。
そして、多くの人の協力があって成せることなんだ、と。

そうすれば人の力で出来ない事は無いかものかも知れません。
一人でできることは知れています。
そんなことを知らなければなりません。
反面教師として私の前を歩いてくれたこの上司の考えや思いを、私は理解出来たのか未だ定かではありません。
しかし、多くの事を考えさせてくれ、私の生き方に影響を与えてくれたのは間違いありません

もう四半世紀前の二月、今より寒かったように記憶しています。
巨石は4枚にスライスしてもちろん公道を運びました。
その重さと長さで公的機関の許可は下りぬまま深夜の国道を、府道・県道、橋梁をゆっくりゆっくり走り抜けました。
珍しく冷たい雨が降りました。
途中、私の車はパンクし、濡れながらタイヤを交換しました。
人生初の自動車のパンクでした。

実はその前日に私は予定されていた運搬路の交差点、橋梁に塩をまきました。
最後に思い付いたのは 『神頼み』しかありませんでした。
人の力で出来ない事は無い、と思いながらも最後に『神頼み』にたどり着いた自身に何となく不思議でした。

考え抜いた先に残ったものが『神』だったのです。
巨石の運搬は滞ることなく終わり、びしょ濡れになった私は風邪を引くこともありませんでした。

この時から少しですが『神』の存在を信じています。


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