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われら老人のゆくえ

敬老の日はとうに過ぎてしまったが、昨日の休みにたまたま手にした『老人性うつ』の本に目を通していた。
日本老年学会と日本老年医学会なるところが日本人の65歳以上を「高齢者」と定めており、65歳以上のうつ病を『老人性うつ』と定義している。
気がつけば私も60代、そのうち、うつ病になれば老人性うつだ。
なんとなく抵抗のある名前である。

これまで一般的であった60歳定年というゴールのようなものがこの『老人性うつ』の大きな原因になっている。
毎日通っていた場所が無くなり、立場も肩書もなくなる。
環境が変わるのは精神的なダメージが大きい。
しかし、30年後にはこの老人性うつの原因は変わっているのではないだろうか。
それどころか老人性うつは減っていくかも知れない。
なぜならば、統計まで見てないが冒頭に述べた通り発症原因の一番は環境の変化だろうと思うからである。
器質的病変(主に脳の病気)が原因であったり、家族の介護などもあるが、男の60歳代には仕事で大きな環境の変化がある。
これが一番なのではないだろか。

しかし、音をたてて今までのシステムは崩れ去った。
今の若者たちには正規雇用の保証は無く、もちろん退職金などあてになりはしない。
老後に年金の制度も助けてはくれない。
今の変わってしまった常識は20年後、30年後の常識を変える。
将来への満ちた不安のなか、高齢者年齢になっても働けるだけ働き続けるのであろう。
そうでなければ生きていけない。

うつなどになっている場合じゃない。

なんだか分かり易い未来で悲しくなってしまう。

こんな事を考えていたら、減るのではないかと思った『老人性うつ』は増えるかもしれないと、今、思い出してきた。

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