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クリスマスに思い出す

早いもので十二月は三分の一を終わろうとしています。
月が変わる前から街を歩けば、クリスマス一色です。
流行り病で皆さんが我慢していたいろんなものが膨らみ、弾けているようにも思います。

私が子どもの頃に今ほどクリスマスだからといって各家庭が、街中が大騒ぎまでしていたのか記憶にありません。
ケーキに興味はなく、サンタクロースよりも年始で我が家に酒を飲みに来る、お年玉をくれる父の会社のおじさんたちのほうが好きでした。

でも、毎年母が、勤めていた病院に出入りしている食品納入業者からB5サイズほどの大きな板チョコを兄と私に一枚ずつ買ってくれたのを憶えています。
駄菓子屋で買うチョコやスーパーのアルファベットチョコを食べると季節は関係なくこの板チョコを思い出します。
カカオの含有率の低い、いわゆる安いチョコだったのです。
トナカイとサンタクロースの絵のついた板チョコでした。
少しかじって冷蔵庫に置いておくと知らないうちに無くなってしまいました。
兄が食べていたのです。
でもよかったんです。
それほどチョコは好きではなく、お菓子に執着はありませんでした。

クリスマスといえば必ずこのサンタの板チョコを思い出します。

この年齢になって思います。
母なりに当時の我が家で出来ることを考えていたんだろうなぁ、と。
それでよかったんだと。
物質で満たされることがすべてではないと思います。
そして、その時にわからなくともあとから「あっ、」と思い出すのがいいように思い、そんなことが出来たらいいな、と思います。

決して計画して出来ることではないでしょうが、『思い出の時限爆弾』とでも呼べるような、そんなことをこの先たくさんできたらいいなと思います。
いつの日か、クリスマスプレゼントにそんなことが出来たら最高だろうな、と思います。

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