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空をみる

朝、空を見る
星は瞬き空気の澄を感じた
まだ明けぬ早朝の空気は尖っていた
働こうという私の邪魔をするのか
その日暮らしに甘んずる私を怒っているようだった
魚市場へ向かう私に空は何を感じていただろう

昼、空を見る
底の見えない青い空気だった
愛知の冬は空を深く深く青くした
そして太陽は子どもの私に囁いた
虫眼鏡で焼いてやれ地べたを歩くアリを焼いてやれ
焼けない私を空はなんと思っていたのだろう

夕、空を見る
子どもではない私は街を歩いた
やわらかい空気はそこには無かった
やめちまえやめちまえ宵の明星はつぶやいた
サラリーマンなんてやめてしまえと出会うたびにつぶやいた
時間はかかったが辞めた私はお前のつぶやきで辞めたわけじゃない

夜、空を見る
温かな灯のともる魅惑の窓がある
そこにはかならず愛があるのだろうか
月は笑って見ているだけだ
灯の数だけ幸せがあると私に言った誰かがいた
でもそれをお前はそうだと言わなかった言わないお前は正しかった

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