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『ふたり展』

今年もこの時期がやって来た。

最後のサラリーマン生活でともに仕事をした先輩が毎年やってる『ふたり展』である。

大学時代のご友人と学生時代から描かれている絵を年に一度、大阪天満の画廊を一週間借りてやっている。
年一度、思いをお持ちの方が立ち寄り、旧交を温めるには大変よい趣向の催しだと思う。
しかしながら、昨年に引き続き折も折、毎年いただく美味しいワインは今年は自粛されていた。

私も差し入れを考え、お腹もすく時間だろうと、新しくなり先行オープンした阪神百貨店の『イカ焼き』を並んで買って行った。
関西の方ならばご存じの方も多い、わりと有名なB級テイクアウトである。

5円の手提げビニール袋を断り、出前のお兄さんのように片手に熱いイカ焼きのパックを載せて天満まで15分間歩いた。

この先輩とは出会いでいきなり衝突した。
一級建築士の先輩はその時営業をされていた。
根っからの建築屋さんと、口先だけで生きてきた営業しか知らない私と意見は合うはずがなかった。
でも一度のぶつかり合いの中で私の考え方をよく理解してくれ、その後は建築の専門家として私をサポートしてくれた。

その先輩も退職して10年近く経ち、聞けば70の歳を過ぎ、私と一回り近くも年齢が違うのだった。
まだ、若いうちには互いに年齢などあまり気にしなかった。
でも今、それをしみじみ感じるのは歳をとった証拠に他ならないであろう。

毎回、テーマを持って展示されている。
でも一度もそれを聞いたことはない。
今回は『環境と空想』のような気がした。

私の知る建築屋さん、それも設計をされる方の多くは絵を描かれる方が多い。
そして、この先輩のご実家は、能楽の鼓のお家元である。
もともと芸術家肌の方なのかも知れない。
その生き方も、しゃべり方にもさらりとシニカルなところがあり、ときどき誤解を招くようなことがあった。
でも、その風貌も大いに関係したかも知れない。
ご実家の生業の話を聞いた時に大いに合点したのだ、この人なら能面無しで舞台に立てるんじゃないかと、、、

最近、釣りにもよく行かれているそうな、、
このオコゼに似た、風貌、そしてそれから想像できない味をお持ちの先輩である。

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