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『その日暮らし』をかんがえる

誰もが今生きることと同時に未来を考えて生きていると思う。

ゼネコン営業マン時代のこと、営業マンは各人目標の受注数値を達成させるために日夜努力をしなければならなかった。
その目標にはいつも期限があった。
これから迫ってくる年度末は辛かった。
そして、期中の仕事ばかりに気を取られているわけにはいかない。
時間の流れは容赦無かった。
絶えず頭を整理しながら期内受注の営業をしながら来期以降や、もっと先の中長期の営業までも考えて進めなければならなかった。
一つ受注しても気を休めることは出来ないのである。
持続が続く緊張は脳に悪影響を与えると思う。

しかし、金が絡むか絡まないかだけで、こんな事は生きていくために誰もが日々やっている事であろう。
『その日暮し』なんて言葉があるが、本当に『その日暮し』してる人間は少ないと思う。
今日一日だけの事を考えることで精一杯ということもあるだろう。
でもそれは『その日暮し』ではないと思う。。
母が障害のある兄を抱えて先を考えたら生きていけないから先を考えずに今日だけを生きる、とよく言っていた。
これは生き方の例えであって本当の『その日暮し』とは違うと思う。
なんだかんだ言いながら同時に『明日を生きる』を考えて生きていたはずである。

本当の『その日暮し』はその日で一日のタスクの何もかもが完結してしまうことだと思う。
だとしたら、これは案外高い計画性を持った生き方なのかも知れない。
ずっと先まで考え抜いての『今日を生きる』があると思う。
一日が終わり、布団に入った時に明日やらねばならぬことを考えずにその日の達成感とともに夢の世界に入って行ける、こんなに素晴らしいことは無いと思う。

結婚して親となり、母の苦悩は少なからず分かった。
そして今、兄の保護者となり母の苦悩は私に引き継がれている。
しかし、母と私は違う。
私には一度に襲ってきた複数の苦悩によって開き直るしかない状態を経験した。
それがよかったと思っている。
そこで『耐性』は出来上がった。

誰かがなんとかしてくれる、それが今の日本国である。
ご両親、ご家族の介護・看病で悩んでいる人は多いと思う。
決して自分だけで解決せずに公に頼るべきである。
そして仕事を続け税金を納め、介護保険料を納めるべきだと思う。

話は多少脱線してしまったが、いつか『保護者』の任を解かれたら気楽な『その日暮らし』をしてみたい。
人生の残りの幾ばくかの日はそんな時間であってもバチは当たらないだろうと思う。

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